2022.01.08
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「美術館との連携」

勤務する学校の地域には盆栽村があります。日本でも有数の盆栽園が地域にはあります。その関係で勤務校では5年生になると地域の先生にご指導いただき、児童全員がマイ盆栽を作ります。2年間学校で盆栽を育て、卒業式に育てた盆栽とともに学校を卒業していきます。盆栽の取組は、大変よい学校の特色になっています。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

大宮盆栽美術館の見学

大宮盆栽美術館での展示

今年度担当する3年生では、校外学習で盆栽村にある大宮盆栽美術館を見学します。大宮盆栽美術館は、日本で唯一の盆栽に特化した美術館で、常時約70点の盆栽を鑑賞することができます。また、子ども対象のイベントや企画展も多く行われており、市民だけではなく市外からもたくさんの来場者があります。この盆栽美術館への見学を行うに向けて、事前学習を行いました。

社会科で、さいたま市の特色について学びました。その中で、地域にある大宮盆栽美術館にも触れました。その学習を生かして、さらに盆栽について学習しました。盆栽美術館では子ども用に学習ノートを用意してくださり、盆栽の見方や盆栽の特徴、そして美術館にある代表的な盆栽の説明などが載っています。また、地域の盆栽村がどうしてできたのかという歴史的な解説もあります。それらを通して、児童は自分たちが住む地域の特徴である盆栽村や盆栽について学んでいくことができました。

また、事前に大宮盆栽美術館のホームページを見て、自分が実際に鑑賞してみたい盆栽を見つけました。そして、その盆栽が何年ぐらい生きているのか、大きさはどのくらいなのかを調べました。すると、子どもたちには自然と疑問がわいてきます。

「どうしてこんなに何百年も盆栽は生きているのかな」
「どんなお世話をしているのかな」
「どうして、ここに盆栽村ができたのかな」

など、見学をしながら学びたいことがはっきりとしてきました。子どもたちには疑問に思ったことを見学で調べ、分かったことを新聞にまとめると事前に話をしました。児童の活動意欲がどんどん増してきました。

見学当日は、早朝のためほとんど子どもたちの貸切り状態で見学できました。園内にはたくさんの学芸員さんがいてくださるので、子どもたちは疑問に思うことなどを質問することができました。

「どうして、1000年も生きている盆栽があるのですか?」という質問には、

「特別な手入れをしているのです。何年かに一度根が長すぎないように切るのと、枝や葉も伸びすぎないように切っているのです」と教えていただきました。具体的に盆栽を見ながら質問することができ、児童は大変楽しそうでした。
今回の実践では地域の特徴である盆栽と、盆栽美術館見学の話題を新聞にしてみました。ここで学習したことを生かして、これからも新聞づくりにチャレンジしていきます。そして、盆栽についても学習を進めていきたいと考えています。

『盆栽美術館見学新聞』の作成

盆栽美術館の見学を終えた子どもたちは、見学で学んだことをノートやプリントにまとめました。そして、その中から、新聞にして伝えたいことを選びました。

「僕は、盆栽の見方について教わったことが心に残っているので記事に書きたいな」
「お気に入りの盆栽の紹介を書きたいな」
「盆栽を手話で表すと、盆栽の意味が分かることを教わったのでその記事を書きたい」

など、学んだことから伝えたい事柄を選び、新聞の構成を考えました。

新聞づくりについては、学習指導要領では中学年の言語活動として位置付いていますが、児童が使用する教科書では4年生で習うことになっています。そこで、その基礎となる新聞づくりとして、「見出し」と「絵」と「記事(文章)」で構成する新聞づくりを行うこととしました。これまでは、記事は1つの新聞でしたが、今回は4~5つの記事で構成する見学新聞を作りました。

児童は年度当初から、簡単な新聞形式(1つの記事)で学習のまとめをする学習を行ってきましたので、今回は記事が増えて新聞らしくなったのが大変うれしそうでした。

多くの方に実践を知ってほしい

今回の取組を多くの方に知っていただきたいと、大宮盆栽美術館と連携し、展示会で児童の作品を展示していただくことにしました。美術館では冬に子どもたちのための企画展があります。そこには多くの子どもたちが見学に来ます。多くの子どもたちに作品を見てもらうことで、子どもたちなりの盆栽を見る視点が理解できると思います。また、見学したことをまとめる方法についても知ってほしいと思います。

展覧会が始まり、私も実際に子どもたちの作品を観に行きました。指導している立場ではなく、大宮盆栽美術館に盆栽を鑑賞に来た立場で子どもたちの作品を見ました。すると、盆栽の特徴をしっかりととらえたすてきな絵が素晴らしいと思いました。手前味噌ですが、子どもたちのセンスが大変良いのに驚かされます。また、子どもたちなりの調べ学習の視点も大変面白いです。この新聞を読んだだけでも、盆栽のことをいろいろ学べます。ぜひ、多くの子どもたち、そして保護者の方々にも見ていただきたいと思っています。

今回の実践では地域の特徴である盆栽と、盆栽美術館見学の話題を新聞にしてみました。ここで学習したことを生かして、これからも新聞づくりにチャレンジしていきます。そして、盆栽についても学習を進めていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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