2021.12.04
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新聞から漢字探し

小学校3年生の国語の学習で、漢字の「へんとつくり」について学ぶ単元があります。そこでは、「ごんべん」や「きへん」、「おおがい」などの部首ついて学び、それらの部首の漢字を探す活動が例示されています。児童は年度当初から新聞を活用した学習を行ってきましたので、この学習でも新聞を活用することにしました。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

同じ部首の漢字を探す

子どもたちは漢字の学習が大好きです。漢字を学ぶ時間には漢字の熟語を辞書などから進んで見つけて発表しています。5月からは辞書をずっと活用しており、新出漢字を含んだ熟語をたくさん見つけることができています。さらに漢字への関心を高めながら学習に取り組めるようにしました。

以前は、「部首」を学ぶ学習では、教科書をなぞるのみの指導をしていました。教科書を読んで、教科書で例示されている漢字を学んで単元の学習を終わりにしていました。児童の反応を思い出すと、漢字に対する意欲が高まっていたとは言い難かったです。また、生活と学習内容のかかわりなどを意識することなどありませんでした。今は、学習していることと生活がかかわっていることが大切であると言われます。そのことを意識した取り組みにしたいと単元の計画を立てました。

新聞記事の活用

「生活と学習内容との関連が大切」と述べました。身近で手軽に、社会の事柄を知るためには新聞を使うことが最適だと考えています。新聞の活用は、現行の学習指導要領にも盛り込まれ、必要な情報を得るためのツールとして重要視されています。学習指導要領に新聞の活用が謳われているため、教科書に新聞を活用した単元が盛り込まれています。しかし、本当の意味で新聞を活用できる力をつけるには、普段から様々な場面で新聞に触れる必要があります。今回の授業のように、漢字を探す活動などの場面でも積極的に新聞を使います。

現在、子どもたちはタブレット型のパソコンを一人一台で使用できる環境が整いました。また、朝日小学生新聞の研究指定を受けてデジタル版の朝日小学生新聞を毎日パソコンで読むことができます。この環境を生かして、デジタル版の記事から漢字探しを行うことにしました。

はじめの時間は教科書で確認した「ごんべん」の漢字を見つけることにしました。まずは新聞記事の概略を見出しなどから考えました。この日に読んだ記事は、日本にいる無国籍の方が、結婚するのに時間がかかったり、パスポートを取得できなかったりすることを取り上げた記事でした。児童は、今までこのようなことがあることを知らなかったのでびっくりしていました。そして、記事の内容にも興味を持ちました。そのうえで、ごんべんの漢字を探しました。児童は記事を追いながら進んで漢字を見つけることができました。

次の時間は「きへん」「てへん」「にんべん」などの漢字を探す活動を行います。そして、見つけた漢字がどんな意味を持つのかを調べます。児童には漢字探しに使う新聞を事前に紹介しておきました。事前に記事を紹介することで、関心が高まるだけではなく、記事を読んで漢字を探す際に、活動が行いやすくなると考えたからです。漢字を探す際に児童と以下のような会話をしました。

(児童)「先生、きへんの漢字がたくさんあったよ」
(教師)「見つかったね。どの記事にあった?」
(児童)「『アボカド』がメキシコからたくさん輸入されているという記事にあったよ」
(教師)「どうしてその記事にきへんの漢字が多いのかな」
(児童)「やっぱり、野菜などを植えるということがたくさん書いてあるからだと思うよ」

漢字を見つけて、その部首からどんな意味になるかを考えることも学習の目標でしたが、それが自然とできていました。

社会的な出来事が掲載されている新聞を活用することで、児童は意欲的に学習に取り組んだだけではなく、記事の内容にも関心を持つことができました。

記事の内容にも興味を持って

学習が終了した後にも、子どもたちは新聞記事などを読む際に、漢字を積極的に見つけていました。

「先生、ここにもきへんの漢字があったよ。やっぱり木に関係のある字だね」
「てへんの漢字はたくさん出てくるね。やっぱり人の動きに関係する字だからたくさん使われるよね」
「にんべんの漢字もたくさん見つかるよ。探しながら見るとこんなににんべんの漢字は多いんだということが分かるね」

など、感想を口々に話していました。大変良い学習ができたと思っています。

現行の学習指導要領では、学習内容を生活と関連付けることの重要性が盛り込まれています。どうすれば生活と関連付けられるのかをこれまで考えてきました。今回の学習のように漢字がどのような場面で使われているかをまさに人の生活の様子が記述された新聞から見つける活動で十分に達成できると考えています。これからも新聞を活用して、学習と生活をつなげ、学習を豊かにしていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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