2021.08.28
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美術館との連携

勤務校の近くには全国的に知られた「大宮盆栽村」があります。今は少なくなってしまいましたが、学区には盆栽園が数件あり、多くの盆栽を展示しています。また、毎年5月には盆栽村で「大盆栽展」が催され、盆栽を求める人たちが多く訪れています。さらに地域には全国で初めて作られた盆栽専門の美術館である「大宮盆栽美術館」があり、全国から、そして世界中から盆栽の愛好家たちが訪問しています。2018年には世界盆栽大会がさいたま市を舞台に行われ、勤務校でも育てた盆栽を展示しました。そのような特徴のある街に勤務校があります。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

地域の特色を知る

勤務校では、盆栽村に近いこともあり、特色のある教育として盆栽教育を実践しています。高学年では一人一鉢の盆栽を育てています。5年生になると盆栽づくりを行い、卒業するまで大切に育てていきます。この活動は、しばしば新聞やテレビなどでも取り上げられてきました。保護者の中にも盆栽に興味のある方が多く、学校の伝統として息づいています。しかしながら、私が本校に赴任する前から盆栽教育に関する課題も感じていました。それは、単に盆栽づくりや盆栽の観察にとどまるのではなく、低学年や中学年においても盆栽を取り上げた実践を行い、地域への愛着を持てるようにする必要があるのではないかということです。もちろん地域の盆栽園の先生に盆栽について教えていただいたり、盆栽づくりを体験したりすることは非常に意義のあることで、それ自体に大きな意味があります。しかし、児童が受け身的に盆栽のことを教わるだけでなく、自ら盆栽について学習していく場面を作ることで、さらに地域への愛着も持てるようになると考えます。

そこで、児童の学習の中に地域の特色である盆栽を取り上げた学習ができないかを考えました。児童が教科の学習の中で盆栽について考えたり、調べたりする機会を設けることで、地域への認識がさらに深まると考えます。今回、担当する3年生の社会科と国語科を軸に指導を行うことにしました。3年生ではちょうど、さいたま市の特徴を学習したり、地域の昔と今の様子を比較したりする学習があるので、それを生かした学習を展開することにしました。

大宮盆栽美術館との連携

さいたま市の大宮盆栽美術館は学校との連携に積極的で、社会科見学や校外学習の受け入れを行っています。また、子どもたちを対象にした特別展(年2回)が行われたり、子ども対象のワークショップが開かれたりしています。美術館の子ども対象の展示やイベントを企画する学芸員さんと連携し、授業で作成した成果物などを展示していただけるようにしました。

前任校に勤務していた際も、大宮盆栽美術館との連携を行い、作品の展示などのご協力をいただきました。児童が美術館を見学して学んだことを新聞にまとめたものや、新聞学習の一環で、盆栽に関する記事をスクラップ新聞(新聞記事をもとにして、関連する事柄を調べ新聞にまとめたもの)にしたものなどを展示していただきました。その際には、児童も学習を離れて盆栽などに代表されるさいたま市の伝統産業に興味関心をもつことができました。夏休みには保護者と一緒に、美術館を訪れる児童もたくさんいたので、学校での学習以上に効果があったのではないかと考えます。美術館の方も「館の展示だけではなく、実際に学習を行った児童の作品が展示されていることで、観覧者の関心も高まる」と話していました。

以前、大宮盆栽美術館のワークショップの講師をさせていただき、地域の子どもたちに盆栽を調べて新聞にまとめる指導をしたことがあります。そのようなご縁で学芸員さんとも懇意になり、授業への協力をしていただきやすくなりました。

今後の学習予定

2学期には担当する3年生が校外学習で大宮盆栽美術館を見学します。例年の取り組みを確認すると、地域の施設を知るという目的での見学を行っているようです。今年度はさらに学習を発展させ、社会科で、地域の移り変わりを学ぶ学習として、児童が住んでいるさいたま市の盆栽村がどのように変化してきたかを学芸員さんに説明をしていただく機会を設けていくことにしました。その活動を通して、地域の昔と今の様子を知ることができます。昔と今の比較をしながら、地域の特徴である「盆栽村」がどうしてこの地域に作られたのかを理解し、地域への愛着もはぐくみたいと考えています。

地域の特色である盆栽について、そして盆栽村をはぐくんだ地域の移り変わりを理解したうえで、大宮盆栽美術館の見学を行い、盆栽村の歴史や盆栽について改めて学びます。そして、最後に学んできたことを新聞にまとめていく予定です。まとめた新聞は、また冬に行われる美術館の子ども対象の展覧会で展示をしていただく予定です。

展覧会には、市内の小学生のほか市内の教職員も見学に訪れます。本校での盆栽を取り上げた実践を知っていただき、各小学校での地域学習に生かしてもらえたらと考えています。これから、児童とともに地域学習に頑張って取り組んでいきたいと思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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