2021.05.13
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コーディネーション理論と体つくり運動あそびの実践方法(手遊びトレーニング編)

コーディネーション理論を基にした、手遊びトレーニングの実践方法について紹介していきます。

旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

はじめに

前々回でコーディネーション理論について、前回でその実践方法についてお伝えしました。今回はコーディネーション理論を踏まえて、「手遊び」での実践方法をお伝えしていきます。なぜ手遊びなのでしょうか?そのあたりについても実践しながら紹介していきたいと思います。

脳から出ている神経の分布を表現した「ペンフィールドのホムンクルス」

手遊びは小学校に上がるとほとんどというか全く行われません。園児に行うだけのものだと思っている人がほとんどでしょう。しかし手を使うということは脳や神経の発達にとても重要であります。それは次の写真からわかります。

これは「ペンフィールドのホムンクルス」と呼ばれる人形に似せて作ったゼミの卒業生による作品です。脳から出ている神経は体中に一様に分布されているわけではありません。手や顔には多く分布しており、胴体や脚は少なくなっています。それを体の大きさにして表現したものがこの人形です。

実験してみましょう。二人組で、一人がもう一人の背中を何本かの指で突きます。もう一人は何本の指で突いたか当てるクイズです。かなり難しいと思います。背中には神経が手ほどに集まっていないことがわかります。

<バランス能力>

こちらは手遊びではありませんが、手の秘めた力を知ってほしいと思います。まずは目を閉じて片足立ち(閉眼片足立ち)してください。グラグラしてしまい修正ができなくなると思います。

次に壁か机に「そっと」指先で触れながら閉眼片足立ちをしてください。不思議なくらい静止またはぐらつきを抑えることができると思います。それほどに手に神経が集中しており、大きな役割をしていることがわかります。

手遊びトレーニングは年齢問わずとても大切で、授業や活動の最初や、中だるみ状態のときに行うと、集中力を高めることができ効果的です。ぜひ行ってみてください。こちらも前回紹介した実践同様、様々な能力を刺激するようにして行うといいので、いろいろと試してみてください。

<連結能力(カップリング能力)>

手遊び「スリスリトントン」

「スリスリトントン」という手遊びが楽しいです。片手はパーで机を前後にスリスリします。もう片方の手はグーで上下にトントン動かします。「せーのハイ」で左右の手で行っているものを入れ替えます。ちなみにこれを空中で行うと更に難しさが倍増します。手のひらを机に触れて行うとやりやすいことがわかります。こんなところからも手の役割の大きさがわかります。

<反応能力(リアクション能力)>

後出しジャンケンキングが楽しむことができます。教員がキングになり「じゃんけんポンポン」と言って、1回目の「ポン」で何かの手を出します。その他のみんなは2回目の「ポン」でそれに勝つ手を出します。何回か行って慣れたら次はあと出しで負けさせます。そうするとかなり難しくなります。勝つことに定着させてから負けも行うことがポイントです。

<定位能力(オリエンテーション能力)>

「二拍子三拍子」という手遊びがいいです。片手は二拍子で上下に動かします。もう片方の手は三角形を描きます。合図で三角形を逆に描いたり、左右の動きを入れ替えたりすると更に面白くなります。また三角形と丸で行うと難易度が上がり能力もアップします。

<変換能力(アダプタビリティ能力)>

手遊び「手合わせ拍手」

「手合わせ拍手」という手遊びを紹介します。教員は横に片手を出します。もう片方の手でその手にかぶさるように上下させて通過させます。そしてみんなはその手同士が交差するときに手を叩きます。時に早く、時に通過するふりして止めたりするなどフェイントをかけながら行うとより盛り上がり、能力向上にもつながります。

<識別能力(ディファレンシング能力)>

スポーツスタッキング

前回「スポーツスタッキング」を紹介しましたが、「もっと詳しく知りたい」と言う声をいただいたため、もう少し詳しくお伝えします。

スポーツスタッキングには様々な種目がありますが、その中でも「3-3-3」と呼ばれる種目が、やり方も簡単で記録も向上しやすいため、そちらを紹介したいと思います。

合計9つのカップを3個×3本にし、カップの口を下にして並べて置きます。右からでも左からでもいいので、ピラミッドのように3本とも積み上げます。積み上げ終わったら、また最初の位置から元の状態に戻し、そのスピードを競うものです。本当はタイムを計るための専用の機器が必要ですが、二人組になりストップウォッチで計測しながら行うのもいいでしょう。

<リズム能力>

前回紹介したダンスの代わりに「手話歌」で行うといいです。リズム能力は音に合わせてリズムを取る聴覚情報を処理する能力だけでなく、上手い人を真似したりする視覚情報の処理能力や、イメージしたことを具現化する能力も含まれます。そのため、全ての振りを覚えてから行うのではなく、敢えて教えず見よう見まねで行う方がよりリズム能力を育てることができます。

最後に

いかがでしょうか。手遊びもコーディネーション理論に基づいて行うと、立派なトレーニングへと変貌します。「たかが手遊び、されど手遊び」これを機にたくさん取り入れてみてください。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。

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