2021.04.19
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コーディネーション理論と体つくり運動あそびの実践方法

前回にお伝えしたコーディネーション理論をもとに、実践方法をご紹介します。

旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

はじめに

前回、コーディネーション理論についてお伝えしました。今回はその実践方法をお伝えしていきます。体つくり運動(あそび)の実践方法をお伝えしていきます。

体つくり運動(あそび)の実践方法

<バランス能力>

バランス能力を育てる体つくり運動遊びは「線鬼」や「田んぼ鬼」が有効です。線鬼は線の上だけで行う鬼ごっこです。

田んぼ鬼は「田」の字に線を引き、逃げる人は「口」の部分は走ることができ、「十」の部分はケンケンしなくてはいけないルールです。一度触られたら片方の靴を「十」の真ん中に置き、二度目に触られたら鬼となります。二回触られる前に誰かが靴を取り返してくれたらリセットできます。

また「クモ鬼」もいいです。これは鬼はお腹を下にした普通の四足歩行で追いかけ、逃げる方はお尻を下にした四足歩行(クモ歩き)で逃げる鬼ごっこです。最近の子どもはつまずいた時にとっさに手を出せずに転んでケガをしてしまったり、手をついても変についてケガをしてしまったりするため、手の意識を高め、普段とは異なる姿勢に慣れるための遊びです。

<連結能力(カップリング能力)>

「二拍子三拍子」という遊びです。腕と脚を異なるリズムで動かすような遊びになります。腕は「横・下」の二拍子で動かします。脚は「パー・グー・グー」の三拍子で動かします。腕と脚を別に動かすため難しいです。

「ATA」という遊びも面白いです。腕は「上・横・下・横・上」と動かします。脚は「パー・グー」を繰り返します。こちらもなかなか難しいです。

<反応能力(リアクション能力)>

二人組で向かい合ってジャンケンします。負けた方は相手を回り元の位置に戻ります。何度か行ったら勝った方が行うようにすると更に効果的です。脚ジャンケンでも楽しめます。

次に勝った方は(負けた方でも可)二人ではない他の誰かを指名して回らせるようにします。指名された人も同じようにジャンケンしているため、たまたまどこかに走っていくとなかなか回れず面白くなります。

<定位能力(オリエンテーション能力)>

鬼ごっこはとても良い実践例です。ここでは「しっぽ取り鬼」をあげたいと思います。しっぽ取り鬼はしっぽ一本で行うことが多く、取られたら終わりというケースが多いです。待っている子どもはとてもつまらないです。そのため一人が持てるしっぽを多くします。そしていろいろなところに着けさせます。そうすると取られないように回転しながら走ったりするため、いわゆるフットワークにつながる遊びになります。

また「スポーツ鬼ごっこ」も面白いです。遊びの中で戦術的な頭を養うことができます。(詳細は「スポーツ鬼ごっこofficial site」参照)

<変換能力(アダプタビリティ能力)>

前述したしっぽ取り鬼と関連して、「(1対1)しっぽ取り対決」が良いです。二人組になり一本ずつしっぽをお尻の位置につけて着けて握手します。もう片方の手でしっぽを取り先に取った方が勝ちとなります。

「大根抜き対決」も面白いです。互いに相手の片方の足を持ち合います。脚を持ち上げたり引っ張ったりして相手を倒したら勝ちです。

<識別能力(ディファレンシング能力)>

識別能力は物を扱う能力です。スポーツスタッキングというカップを扱って遊ぶスポーツは各年代の発達段階に合わせた活動が自然とできるため、とても有効なスポーツ遊びです。(詳細は「スポーツスタッキング 一般社団法人WSSA-JAPAN」参照)

<リズム能力>

リズム能力は耳から聞いた音楽やリズムに合わせる能力と思いがちですが、目で見た動きを真似する能力もリズム能力となります。そのため「震源地」という遊びが面白いです。鬼を一人決め外にいてもらいます。誰か一人「震源地」を決め他のみんなはその人の真似をします。鬼が見つけたら鬼の勝ちで交代します。

またダンスをあえて教えずに見様見真似で行わせるのも良い実践例です。

最後に

いかがですか?新しいものを多く紹介しましたが、先生方が知っている遊びを取り入れるのでも大丈夫です。ポイントはこれら7つの能力を偏ることなく、まんべんなく活動に取り入れられるように子どもたちに提供していくことです。特に幼児期・児童期はその考え方が大切です。中学高校では各競技の練習や授業をこのコーディネーション理論を用いて行うと格段に面白くなります。ぜひ行ってみてください。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。

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