2021.03.30
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コーディネーション理論と体つくり運動(あそび)

トップアスリートのために考案されたスポーツ理論「コーディネーション理論」ですが、実は幼少期の子どもに良いことがわかってきました。そのコーディネーション理論を体育の授業に応用するために、まずは理論からお伝えしていきます。(次回、実践編をお伝えします)

旭川大学短期大学部 准教授 赤堀 達也

はじめに

新年度も担当させていただけることになりました旭川大学短期大学部の赤堀達也です。2年半が経ち6期目となり、皆さんのおかげで長く続けられています。ありがとうございます。幼児から大学までの指導経験をいかした話題の提供に心がけていきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願い致します。

今回は、かなり以前に紹介した最新のスポール理論である「コーディネーション理論」と前回好評だった「体つくり運動(あそび)」を掛け合わせた内容の理論編でお届けしたいと思います。

コーディネーション理論とは

私はどの年代の子どもでも運動指導する際には3つの運動理論を意識して行っています。一つ目は前回紹介した「体幹理論」、二つ目は今回の話題の次に紹介しようと思っている筋力が未発達な子ども向きの「脱力反射理論」、三つ目はこの「コーディネーション理論」です。このコーディネーション理論は、現在の最新スポーツトレーニングである「コーディネーショントレーニング」なのですが、考え方が分かると、練習やトレーニングだった運動が楽しくなるため、コーディネーショントレーニングと言わずにコーディネーション理論としています。ご了承ください。

コーディネーション理論の起源

このコーディネーション理論は、もともとドイツ代表選手といったトップアスリートのために考案されたものです。しかし、その特徴からトップアスリートだけでなく幼少期にも有効であることが分かり、最先端を謳い文句にしているスポーツ教室や体操教室では取り入れられています。それほど難しいものではないため学校教育の場でも取り入れやすいです。もしよろしければ行ってみてください。

運動能力の分類について再考する

その前に予備知識をお伝えします。とある考え方によると「運動能力」は4つに分けることができます。「筋力」「柔軟性」「持久力」「調整力」です。

その中の調整力ですが日本では、バランス感覚である「平衡性」、体や道具を上手に使う「協応性(昔で言う巧緻性)」、素早く動く「敏捷性」に分けられています(いろいろな考え方があるので、別の考え方で分類されているものも多々あります)。しかし、ドイツでは、この「調整力=(英語で)コーディネーション」を7つに分けて考えています。

スキャモンの発育発達曲線から、神経型が発達する幼少期はこの調整力を育てるような運動をすることが最適です。

コーディネーション理論では何が変わるのか

7つのコーディネーション能力

それは何故かというと運動の捉え方の違いからです。例えば、バスケットボールにおいてシュートが入らない場合、日本においては「正確に同じシュートフォームで打てるようにひたすらリピート練習」になります。しかし、コーディネーションの考え方だと「目はしっかり距離感を把握できているのか」や「指先の感覚は正確にボールを感じ取っているか」といったところまで考えていくことになります。もう少し詳細にお伝えすると、日本の場合は運動の「出力」だけを考えがちであるため「正確に腕を動かせるようになるために繰り返す」ことになります。しかし、後者では運動の「入力」から考えます。「目の良さ」や「触覚の良さ」といったところです。目を良くするために深視力を育てる大型自動車免許の深視力検査のようなことをしたり、触覚を良くするために重さや感触の異なる様々なボールで練習したりすることになります。この後者がコーディネーション理論の考え方です。その時に考えるといい能力が3つではなく7つあるということです。

日本人が考えがちな練習だと単調な繰り返しになりがちですが、コーディネーション理論では実に変化に富んだものになります。その7つの能力と内容をお伝えするとこの表になります。

最後に

これらを踏まえ、次回は体つくり運動(あそび)の実践方法をお伝えしていきます。

※文中の図表は、資料をもとに筆者が制作しました。

赤堀 達也(あかほり たつや)

旭川大学短期大学部 准教授・元パーソナルストレッチトレーナー・バスケットボールコーチ
幼児体育指導、小学校のスポーツ少年団指導、中学校の部活動指導、高校の体育指導、大学の体育指導及び部活動指導と、全年代の子どものスポーツ及び体育指導の経験を生かし、子どもの運動能力の向上を図る研究を行う。

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