2021.02.24
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3年生物語文指導完結編part1

今回から2回に分けて3年生の物語文指導の完結編を紹介します。使用教材は、東京書籍に収録されている「ゆうすげ村の小さな旅館」です。「しかけ」について子どもたちと考える単元。物語の「面白さ」を発見できる可能性を含んだ教材だと思います。これをどう指導していくか参考になればと思います。

明石市立錦が丘小学校 教諭 川上 健治

今まで学んだことを最大限に活かしながら

今期の執筆も残すところあと2回となりました。この2回で3年生として最後の読みもの教材『ゆうすげ村の小さな旅館』の実践を紹介したいと思います。

2回のうちの今回は、まだこれを書いている段階では、授業をおこなっていないので子どもたちとのやりとり等は紹介できませんが、今私が考えていることを中心に書こうかと思います。

まず、本教材は3年生最後の物語教教材として位置付けられていますので、今まで学んだことを最大限に活かしながら新しい学習を付け加えていくというイメージで授業を展開していきます。

1.今まで学んだこととは……

いつかの記事にも書きましたが、国語の物語を指導するうえで、外せないのは、「物語を自力で読める力=読解力」をつけさせることです。私は、元々塾の講師として国語を教えていました。生徒を指導している中で、中学生になっても自力で「音読ができない」「1回読んだだけでは話の内容が理解できない」「作者の意図が分からない」等々、読解力がないままに高校受験を迎えようとしている子がとても多いという印象を受けました。だから、ますます「国語嫌い」に拍車がかかり、国語の勉強から遠ざかってしまいがちになってしまいます。

では、小学生のうちにできることは何かといえば、やはり前述した「物語を自力で読める力」をつけさせてあげることです。自力で物語を読める経験を積めば「読書」自体の見方・考え方も変わってくるはずです。

では、小学3年生というこの時期に何ができればいいのかというと学習指導要領に沿って書くと「あらすじを書くことができる」だと思います。あらすじを書くには、そのお話に出てくる中心人物の気持ちを読み取れなければなりません。そして、その気持ちがどう移り変わったのかの気持ちの変容や気持ちの変容を起こしたきっかけも読み取れなければなりません。また、その読み取ったことを短くまとめられなければなりません。つまり「あらすじを書ける」ということは、小学3年生で必要な「読み書き」の目標をある程度、達成できていなければなりません。

従って、小学3年生の最後の物語教材であることを考えると、この「あらすじを書く」ところまでは、自力で達成させたいところです。だからこそ、この単元の中盤までは、この「あらすじを書く」というところに向かって指導していきます。

2.新しい学習とは……

この単元での新しい学習とは、教科書にも書かれている「しかけを探して読む」ことです。物語には、しかけ(伏線)があり、そのしかけ(伏線)の存在を知っているのといないのとでは、読みの面白さに大きな違いが出てきます。その存在を知り、「物語って実はこういう面白さもあるんだ」と分かってもらうことがこの単元では大切だと考えます。

ちなみに、幼児や小学生に人気の『おしりたんてい』にもたくさんのしかけ(伏線)が仕掛けられています。『おしりたんてい』の著書である田中陽子さんの話も

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「最初から出来る限り手がかりを示すということですね。読者も読みながら推理していくことができ、自分の思った予想の範囲と違ったりして楽しい、でもちゃんと見ていれば真相がわかるというふうにしたいと思っています」
「推理やトリックであっても、いままで書いていなかったことが急に起こるということは絶対にしないと決めています」

(「ミステリマガジン」2018.7月号p10,p14)

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と言っています。また、『おしりたんてい』のテレビには必ず最後に謎解きの時間があります。私の息子も毎回食い入るように観ています。こういった著者の仕掛けが人気の秘密だと言えます。

本単元もそういった楽しみ方ができる可能性があると思います。従って、単元の序盤から中盤にかけては、前述したように「あらすじを書く」というところに向かって指導を進めていきます。あらすじまで書けたところで、『おしりたんてい』の絵本を登場させます。一口に「しかけがある」と言っても、クラスの全員がイメージできるかと言えばそうではありません。従って、慣れ親しみやすい『おしりたんてい』の本を使って「しかけとはこういうことを表すんだよ」ということを伝えます。そして、それが終われば、この絵本のしかけ(伏線)について、おしりたんていばりに「ここまでよんできたみなさんならわかりますよね」と子どもたちに問いかけ、読み返しを促したいと考えています。
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塾講師をしている時に、痛感した「国語嫌い」からの脱却。それができる可能性のある教材だと思います。どんな実践ができるか、ギリギリまで考えていきたいと思います。

次回の最終号は、この時の具体的な実践を紹介して今期を終えたいと思います。

川上 健治(かわかみ けんじ)

明石市立錦が丘小学校 教諭
クラスの全員が楽しく学び合い「分かる・できる」ことを目指して日々授業を考えています。また、様々な土台となる学級経営も大切にしています。

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