2020.10.29
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地産地消の取組を知る

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

給食の食材調べから…

5年生の社会科で食料生産について学んでいます。この単元では、日本が多くの食料を外国からの輸入に頼っていることを学習します。児童は自分が普段利用しているスーパーへの買い物の際に食材の産地を調べたり、スーパーのチラシをチェックして外国産のものを見付けたりする活動を行いました。その活動を通して、児童は自分たちが食べているものはいろんな地域から運ばれてきていることに改めて気づきました。また、日本の食料生産のこれからについても考えるようになりました。

「先生、昨日はサンマがとても高かったよ。やっぱり不漁なのかな」
「果物などは外国産が本当に多かったよ」
「社会科の授業を受けてから、スーパーに行くと産地を気にするようになりました」

など、気が付いたことを教室で話し合っていました。

この単元の学習に入ってから、毎日児童と給食の食材について調べる活動も行いました。毎日、その日に出される水産物の産地を予想し、お昼に栄養教諭の先生に聞きに行きました。すると、かなり多くの食材が外国産であることが分かりました。その後、スーパーでの調べ学習とも併せて、例えば「たこ」はモーリタニアという国からの輸出が多いことや、「ししゃも」といって出される魚は外国から輸入される「カペリン」という魚であることなどを知りました。これらの活動を通して、食料生産に関する児童の意欲が大変高まりました。

自分たちが食べている食料のなかで輸入に頼っているものが多いということを学んだあとに、児童は日本の農業や漁業を盛んにする取り組みについても学びました。インターネットや新聞記事を使って、様々な企業が農業生産などに取り組んでいることを発見しました。一見すると農業に関係しない会社が農園を経営していたり、食料を売るお店でなくても地域の野菜などを積極的に売る活動を行っていたりすることを発見しました。そこで、児童に新たなキーワードとして「地産地消」という言葉を教えました。食料自給率がかなり低くなってしまっている今、地域の食材をもっと使うことが求められています。次の学習として、地域の農園ではどんな活動をしているかを学ぶことにしました。

地域の農園を営む方から学ぶ

さいたま市には江戸時代に干拓された広大な見沼田んぼがあります。今でも多くの田んぼや畑が営まれ、自然豊かな風景が広がります。その中で、地産地消を目指して農園を始められた方がいらっしゃいました。女性一人ですべての作業を行い、地域に新鮮な野菜を提供しているので、新聞や市の広報誌などでも紹介されているTさんです。そのTさんに地産地消の取組についてゲストティーチャーとして話をしていただく機会を設けました。

Tさんをゲストティーチャーとしてお招きをする前に、学年掲示板を活用して、農園の方の情報を児童に伝えました。農園の様子や作られている野菜の写真、そしてTさんが取り上げられた広報誌などを示すことで、児童の関心を高めました。実際にTさんが作った野菜も展示し、児童が自由に見られるようにしました。可能であれば、Tさんの農園で作られた野菜を使って調理実習をするなど、野菜を食べることができればさらに児童の関心が高まったのではないかと思います。しかし、新型コロナウイルス流行のためかないませんでした。そこで、私が家庭科室で調理した料理を写真で児童に示すことにしました。児童は掲示板の写真を見たり私から話を聞いたりして、Tさんからお話を聞くのを楽しみにしていました。

Tさんを招いた授業では、Tさんがどうして農園を始めたのか、そしてどんな仕事をしているのか、さらにはこれからの展望について話していただきました。

<Tさんのお話の内容>

・農園を始めたきっかけは、型にはまった仕事ではなく自分で自由にできる仕事をしたかったから。そして、小さいころの農業体験が好きだったから。

・たくさんの野菜を作って、地域のスーパーやJAの直売所などで売ってもらっている。

・野菜を買ってくれる人の顔も見えるのでとてもやりがいがある仕事である。

・これから、たくさんの人に野菜のよさを知ってもらいたいと思っている。そのためにいろんなイベントなどを企画している。

など、具体的な仕事だけではなく、これからの展望なども聞かせていただくことができました。児童は、身近に「地産地消」の取組をしている方の話を聞き、よい経験になったようでした。

これからも考え続けてほしい

今回、ゲストティーチャーのお話を聞いて、児童は食料生産について関心を深めることができました。そして、これから日本の食料生産を守るためにはどんなことが必要かを考え、新聞形式でまとめる活動も行いました。その中で、児童は生産者の立場と消費者の立場の両方で考えることができました。特に地域の食料生産を盛んにするための方策をたくさん考えました。

「地域の農園で直売所を作って売ることで、地域の新鮮で安全な野菜を知ってもらえるのではないか」
「インターネットで地域の野菜を紹介すれば、地域の野菜を好きになる人が増えると思う」
「ホームセンターなどとも協力して、地域の野菜を売ってもらうようにすればよい」

などたくさんのアイディアが出ました。児童にはこの単元が終わっても地域の食料生産について考えてもらいたいと思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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