2020.06.06
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「さあ、学級づくりスタートだ!」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

子どもたちへのストローク

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う臨時休校が続いていました。6月から少しずつですが、学校が再開されることになりました。今年度、5学年を担任しているのですが、一番楽しみである林間学校はどうなるのか、そして運動会は実施できるのかなどまだまだ分からないことが多いです。とにかく少しずつスタートさせていかなければなりません。これまで2カ月間、学校が再開されたらスムーズに学校生活に入れるように、児童たちにさまざまなメッセージを送ったり、課題を出したりしてきました。保護者の方にもたくさんの協力をいただき、児童はそれらの課題をしっかりと行ってきました。これから、2カ月遅れではありますが、今年度を本格的にスタートしていきたいと思います。

学校が再開されてまず行おうと思っていることは、児童全員への毎日の声掛けです。児童は休校が続き、そのストレスが溜まっていたり、学校再開に際して新しい友達との人間関係などについて不安を感じていたりするかもしれないと思います。その気持ちをもみほぐし、新しいクラスになじめるようにしていきたいです。

私が教師塾で指導いただいた元カリスマ体育教師でいらっしゃる原田隆史先生(原田教育研究所所長)は、「子どもたちへのかかわりは『ストローク=心の栄養』といってとても大切だ」とおっしゃっています。原田先生の教師塾では、クラスの児童への声掛けをカウントし、子どもたちにどのくらい関わったかを分析する課題が与えられたほど大切にされていました。この時の経験を生かして、毎日児童全員に意識的に声掛けをしていきたいと考えています。

私は教員になってから10年以上、朝のあいさつ運動を続けています。朝の登校時は、児童一人ひとりに声を掛けられるチャンスです。また、児童の朝の様子から、児童の心の状態を知ることもできます。いつもと様子が違う児童には教室の中でできるだけ声を掛けようという見通しも持つこともできます。そこで、毎日クラスの児童に声を掛けるようにしていました。今年度もあいさつ運動を継続し、まずはそこで児童全員に声を掛けたいと思います。

学習への意欲付け

休校中に児童には新聞の読み取りを課したワークシートを配りました。5年生では国語で「新聞を読もう」という単元があります。そこで、その予習も兼ねて毎日、易しめの記事を読んでもらいました。例えば、昨年大きな話題になった「プラスチックごみ」の問題や「サンマの不漁」に関する記事です。これらは社会科の授業でも取り上げます。社会科では、ごみ問題や漁業を取り巻く問題を学習しますが、教科書が作られたのは数年前になります。そこで、新聞を使うことで、現在の問題について捉えながら学習を進めることができます。児童は最近話題になっている記事を読み、考えたことや感想などをまとめていました。

「レジ袋の有料化になってごみが少しでも減ってくるとよいと思う」
「どうしてサンマが獲れなくなっているのか社会科の学習で調べてみたいです」
「レストランでスマホを使って注文ができるという記事がありました。これで店員さんの数を減らせて、値段も下がると思います」
「プラスチックごみが大きな問題になっていると記事を読んで知りました。ごみ問題についてもっと考えたいです」
「食品ロスという言葉を学びました。社会科でも学習するようなのでしっかりと学びたいです」

など、たくさんの感想を書いていました。

児童が登校して最初のうちは授業時間が35分間と短くなり、少し難しいのですが、その中でも児童が楽しく取り組めるように授業を工夫していきたいと思っています。 

今から思い出に残すクラスづくりを…

新年度スタートと同時に休校になってしまったため、「新しいクラスでどうなるのだろう」という不安を抱えている児童もいるのではないかと思います。先日、分散登校のための準備登校の際に、担任としてクラスづくりの目標を話しました。児童に話したのは以下の通りです。

「先生は先生になって今年で22年目になります。これまでたくさんの子どもたちと出会ってきました。みんなとってもよい子たちでした。今年度みなさんと出会えたことを幸せに思います。先生の今の夢は『一人ひとりが輝く、クラスをつくりたい!』ということです。みんなの瞳・心・汗がキラキラしている……そんなクラスづくりをしていきたいです。みなさんと過ごす1年間がどんなにすばらしいものになるか、今から楽しみにしています」

児童には、学級だよりにも掲載してメッセージを伝えました。そして、児童自身もどんなクラスにしたいかを次に登校するまでに考えてほしいと告げました。みんな笑顔で聞いてくれました。

これから少しずつ学校がスタートしますが、一人ひとりに毎日声を掛けながら、ゆっくりとクラスづくりしていきたいと思っています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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