博物館見学や七輪体験
3年生の社会科の学習で、昔の道具を調べる活動があります。昔の道具にはどんなものがあり、どんな工夫がされていたか、そして、今の道具とどんなところが違うのかなどを学びます。児童は昔の道具を使った経験があまりありません。そこで、できるだけ児童に実体験を通して学習を進めさせたいと考え、博物館見学や七輪体験に取り組みました。実際に道具を使って見たり、触ってみたりする体験を企画しました。
まずは、市内にある市立博物館の見学です。市立博物館には昔の道具の展示があり、今、家庭で使っている家電などが昔はどのようなものだったかを知ることができます。また、博物館の先生が、洗濯体験などを指導してくださいます。児童は実際に洗濯板で洗濯をしたり、石臼で大豆を引く体験をしたりしました。
次に、地域のボランティアの方からご指導をいただき、七輪でお餅を焼く体験を行いました。七輪に火をつけるところから始めたので、昔はすぐに火をつけられなかったことを理解できました。
児童はそれらの体験を通して、今の道具とはかなり違っていることを理解できました。また、自分が詳しく調べてみたい道具についても考えることができました。
児童の感想から
児童は博物館見学や七輪体験を終えて、感想をまとめました。感想では次のようなものがありました。
「今のくらしで使われている道具が大変便利であることが改めて分かった」
「昔からどんどん便利なものに変わっていることが分かった」
「きっと道具の変化に連れて、人々の生活の仕方にも変化があったのだと思う」
などと、児童は感じたことを友達同士で発表し合いました。実際に経験をしたり見学をしたりすることで、道具を使っていた人々の思いや工夫にも考えを広げることができました。
この後児童は、自分が詳しく調べてみたいと思った道具を一つ選んで調べ学習を行いました。学校の図書館で本を使って調べたり、インターネットで調べたりしました。児童は実際に体験活動や博物館の見学を行っていたので、大変意欲的に活動をしていました。そして、調べたことを発表会でしっかりと発表できました。どの児童も、昔の道具が今とどう違っているのか、また、昔の人々は道具をどんな工夫をしながら使っていたのかを発表していました。
これからも実体験を大切にして
児童は見学したことをもとにして、調べ学習をしっかりと行い、調べたことを新聞にまとめることができました。活動を通して、児童の意欲がずっと高かったと感じています。その理由は、やはり、実体験を通して、昔の道具に向き合ったからではないかと感じています。
これからも、教科などの学習の中で、児童に直接の体験をする場面をたくさん作っていきたいと考えています。
菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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