尊徳翁との出会い
私には何かに悩んだ時に相談させていただく心の師と思っている方がいます。その方は、曹洞宗総本山総持寺の元後堂職を務めていらっしゃった、野田大燈先生という方です。現在は四国のお寺で、不登校の子どもたちを受け入れる施設などの運営なども行っている方です。元サッカー日本代表監督である岡田武史氏の心の師としても知られています。教師として大きな壁にぶつかった際などにいつもヒントとなる言葉をいただいています。
今回、あることで迷いが生じたため、野田先生にご相談をしたところ、二宮尊徳翁の句を紹介いただきました。その句とは、
「この秋は 雨か嵐かしらねども 今日の勤めの 田草刈るなり」
です。そして、「目標を定めたらそれに向かって、1日1日を丁寧に生きていくことが大切だ」というお言葉をいただきました。
私は、二宮尊徳翁について、母親の実家近くにある小学校に尊徳翁の銅像があったことや、なんとなく農政の改革をしたことぐらいしか知識がありませんでした。そこで、この冬に尊徳翁ゆかりの地を訪ね、尊徳翁について学ぶことにしました。
児童用の伝記と映画で学ぶ
尊徳翁のゆかりの地を訪ねる前に、学校図書館にある伝記を読み返し、尊徳翁を取り上げた映画を鑑賞しました。これまでは断片的な知識だけだったのですが、伝記を読んだり映画を鑑賞することで、子どもの頃のことや人となりなど詳しく理解することができました。そして、尊徳翁について
- 実学を大切にしていたこと
- 善も悪もすべて円で考えていたこと
- ただの倹約を行っただけではなく、農民のモチベーションを高める取組を行いながら、生産を高めて行ったこと
- 子どもの頃は薪を背負いながら読んだ本を何度も繰り返し唱えていたこと
などを初めて知りました。そして、ぜひ尊徳翁のゆかりの地を訪ねてみたいと改めて思いました。
尊徳翁のゆかりの場を訪ねて……
尊徳翁のゆかりの地を訪ねてみました。年の瀬だったこともあり、私の他には誰もいませんでしたが、尊徳翁が昔、捨てられた苗を開墾した田んぼに植えた跡や物思いにふけったり本を読んでいたりしたとされる川の土手などに行ってみました。
その場に立ち学んだことは、尊徳翁が「何事もあきらめずに、自分のできることを全力でやっていたこと」そして、「たくさんの書物を読みよく考えていたこと」。尊徳翁は600以上の農村復興に携わったと知りましたが、きっと子どもの頃のそうした努力が実を結んだ結果なのではないかと思いました。
今回、尊徳翁と出会うことで、様々なことを考えました。これからも尊徳翁について学んでいきたいと思いました。
菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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