2019.12.04
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

「新聞記者から学ぶ」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

埼玉新聞社の記者を招いて

NIE(教育に新聞を)の活動として、新聞社との連携がよく行われます。新聞社の記者を招いて、話をしてもらうことが主な内容です。今回は、さいたま市内の取材を担当されている、地域紙・埼玉新聞の記者を招いた授業を企画しました。
内容は、総合的な学習でさいたま市の伝統産業である「人形作り」について知ることと、取材の仕方をプロの記者から聞くというものです。ゲストティーチャーである埼玉新聞社のA記者はさいたま市の人形作りや人形にまつわる出来事をたくさん取材しています。その内容を解説してもらいながら、取材のコツを児童に指導してもらうことにしました。
現在の学習指導要領でも、来年度から完全実施になる新学習指導要領においても新聞の活用が重要視されています。そこで、新聞社との連携を図り、記者を授業に招く授業が多くなってきました。しかし、授業の内容を新聞社や記者任せにしている例も多いと聞きます。やはり授業の目標をしっかりと見据えて、記者の方にしっかりとそのねらいを伝えて、それに沿った内容の話をしていただくようにしていかなければならないと思っています。今回は、打ち合わせ段階から授業の構想を記者に話し、それをもとに話をしてもらいました。

人形の記事について聞く

招聘した記者はさいたま市の様々な現場を取材しており、児童がこれから総合的な学習の時間で学んでいく「岩槻人形」についても様々な角度から取材をしていました。そこで、まずは取材した記事をもとに「岩槻人形」の魅力を話していただきました。人形に感謝の気持ちを表す「人形供養」や子どもの健やかな成長を祈る「流し雛」などの行事や現在の職人さんがデザインした新しい人形についても解説していただきました。児童は記者の話を聞きながら、自分たちが知りたいことを早く調べたいと思うようになりました。
次に、取材の仕方についても詳しく解説をしていただきました。記者が取材をした時のことなどを交えながら、児童に「何を知りたいのかをしっかりと考えておくこと」そして「そのことがニュースになるのかどうかもしっかりと考えること」と取材をするうえで大切なことを教えてくださいました。児童は、記者の話をたくさんメモしながらしっかりと聞いていました。

調べ学習に取り組んでいく

児童は記者の話を聞き、実際にさいたま市の人形作りについて調べる意欲を高めました。そしてどんなことを調べたいかを考えていきました。
「人形の作り方についてさらに詳しく知りたい」
「どんな人形の種類があるのかを知りたい」
「人形がどんな風に作られるようになったのかを知りたい」
「どうして岩槻でたくさん人形が作られているのかを知りたい」
など、しっかりと考えることができました。児童はこの後、同じ課題をもつ友達とチームを作り調べ学習に取り組んでいきます。調べた成果をゲストティーチャーの記者さんにも知らせたいと張り切っています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop