2019.08.24
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「新聞トークからスタートしましょう」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

NIEを取り入れる難しさ

来年度より小学校で完全実施となる学習指導要領では新聞の活用が総則にも盛り込まれ、学校教育の中で新聞活用が重要視されています。これまでも、新聞の活用はNIE(Newspaper in Education)として全国で実践されてきました。そして、文部科学省が行う学力学習状況調査でも、新聞を読む子どもの方が学力も高いという結果が出ています。
私が勤務するさいたま市では市の教育委員会と県のNIE推進協議会が提携を結び、全市立小中学校高等学校特別支援学校で新聞の活用が行われています。しかしながら、NIEの実践については教職員の中で温度差があり、効果的なNIEが行われているかどうかは心許ない状態です。それは、NIEには教科書があるわけではなく、先生方がどのように新聞を使ったらよいかよくわからないためなのではないかと考えています。

先生がまず新聞を読んで

そこで、まずは先生方が新聞に親しむことが必要であると考えています。近年は若い先生が多くなり、新聞を読んでいない先生も多いと聞きます。しかし、先述したとおり、学習指導要領の中にも新聞の活用がうたわれています。その中で先生方が新聞に全く無関心ということは許されません。新聞を使って効果的な指導ができるようにするために、まずは先生方が新聞を読むことからスタートしたいと思っています。
そこでおすすめなのが、担当する学年や教科の年間の指導事項をざっと概観しておくことをおすすめします。そうした状態で新聞をめくっていると、自然と教科の学習に関連のあるニュースが見つかるようになります。これを「カラーバス効果」と呼ぶそうです。新聞を読んでいて「これは授業で使えそうだ!」と思えたらしめたものです。きっと、NIEの実践を進めていけるようになります。

「新聞トーク」からスタート

先生方が新聞に親しめるようになったら、次は、気になった記事を児童に紹介してほしいと思います。私自身は毎日の朝の会の短い時間に児童に「新聞トーク」として、紹介しています。教科に関するもの、季節に関するもの、学校の業に関するものなど、その時々でいろんなものを紹介しています。先日、児童が他の先生に「先生の新聞のお話がいつも楽しみ」と話してくれたそうです。
朝の新聞トークならば、短い時間で簡単に実践できます。まずは本格的なNIEの実践の前に新聞トークからスタートしてみてください。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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