東日本大震災について新聞から知る
担当する小学校3年生で、大地震が起こった際に自分はどのように避難をすればよいかを考える実践を行いました。東日本大震災以来、各学校で防災教育が見直され、避難訓練などが積極的に行われています。しかしながら、児童が主体的に自分の安全な身の守り方を考える機会は少ないと感じます。児童が自ら考え、判断する活動を行うことによって、いざという時の行動につながるのではないかと考え、今回の実践を行いました。
授業での学習を行う前に、児童の関心を高めるため、東日本大震災関連の新聞記事を児童に紹介しました。3年生の児童は東日本大震災の直接の記憶がありません。しかし、記事の大きさや写真の大きさから、大きな震災であったことを理解しました。そして、保護者が東日本大震災の際にどんなことをしていたか、どんなことを考えていたかをインタビューし、それを友達と紹介し合いました。
「お母さんは、私と一緒にお昼寝をしていた時に地震があったと言っていました。とってもびっくりしたと言っていました」
「赤ちゃんの私を抱いて買い物の途中でした。怖がっていたら、まわりの人が声をかけてくれたと言っていました」
など、東日本大震災の時のことを話し合いながら、防災の必要性についての意識を高めていきました。
地震から身を守る方法を考える
東日本大震災が起こった時に家族や自分がどうしていたかをインタビューし、発表し合った児童は、防災についての関心を高めていきました。学校行事としての避難訓練もしっかりと行いました。そこで、今度は特別活動の時間に「休み時間、先生がいない時に大地震が起こったら」のタイトルで、安全に避難するためのシナリオ作りをすることにしました。シナリオは名付けて「防災巻」としました。
児童は、自分が教室から避難する経路を確認し、どんな危険があるかを友達と話し合いました。そして、それをもとにどのように安全に避難をしたらよいかをまとめました。
「また大きな揺れが来るかもしれないから階段では手すりをつかみながら進む」
「上から何か落ちてくるかもしれないから何かで頭を守りながら進む」
「揺れが来て転んでしまうかもしれないから、姿勢を低くする」
など、児童なりの考えを出し、友達と紹介し合うことができました。
防災士からのアドバイスを受けて

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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