M小学校でNIE研修会開催
NIE実践校に指定されているさいたま市のM小学校でNIEの研修会が開催されることになり、講師を依頼されました。M小学校はさいたま市で最も新しい学校で、児童数が約1500名もいるマンモス校です。教員の数も60名を超えており、NIEを全教員で進めていくのは大変だと思われます。まずはM小学校での課題をつかむことが大切であると考え、事前に学校を訪問しました。
学校訪問をして校内を見学すると、児童が通る廊下の広いスペースにNIEコーナーがあり、自由に新聞を読めるようにしてありました。しかし、教室には新聞がほとんどなく、まだあまりたくさんの先生が新聞を活用していないことが分かりました。また、学校の実践報告を見ると、数人の先生が新聞を使って授業を数回行っただけで、まだ計画的にNIEを進めているわけではないことが分かりました。さらに、M小学校には大変若い教員が多く、新聞を購読していない教員も多いということも分かりました。
そこで、今回の研修では、実際に新聞を触ってみて、教員が新聞を活用する良さを感じるようなものにしたいと考えました。そして、新学習指導要領などでも新聞が重要視されていることも解説することにしました。さらに、特に若い先生が「新聞を活用してみたい」と思えるような研修にしたいと考えました。
理論と実践をバランスよく研修
研修会ではまず、新学習指導要領で新聞が重要視されていることを確認しました。例えば、高学年の国語科では調べたりする資料として新聞が例示されていることなどを先生たちと一緒に確認し、児童にとって新聞を活用できるようになることが大切であることを実感していただきました。そして、NIEとはどんな授業なのか、NIEを行うことでどんな力をつけられるのかをお話ししました。
その後、新聞を使っての演習を行いました。最初に行ったのが、小学生新聞のコラムの書き写しです。500字ぐらいの文章を原稿用紙に書き写していきます。先生方は集中して書き写しを行いました。演習の後、この学習でどんな力がつくのかを考えていただきました。「書く力」「考える力」「語彙力」「社会への関心」など、たくさんのものが挙げられました。
実際に作業をしてみることで、実際につけられる力を理解することができます。
もう一つ「新聞スクラップ」も行いました。教員に新聞を配布し関心のある記事を選んでスクラップに取り組んでもらいました。先生方は記事をシートに貼り付け、ノートに要約をしたり感想を書いたりしました。そして、ペアになって記事を楽しそうに紹介し合っていました。この学習を通して、スクラップが児童の興味関心を高め、授業での学習を深める可能性があることを実感していただけたようです。
すぐに取り組めるように

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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