教職20年目の節目の年
今年度、教師となって20年目の節目の年を迎えました。思い返せば、この20年、いろんな方に支えられて何とかここまで来ることができました。時には教師を続けることが無理かもしれないと深く悩んだことも、子どもたちの成長の姿に涙をしたこともあります。本当にこの20年間でたくさんの経験をさせていただきました。
これまでやってきた仕事の中で、一番大きいものが、学校の体育主任としての仕事です。体育主任は学校の体育授業の研究のほか、学校内外の体育的な行事に関わります。現在のように若い先生が多くなかった時代ですので、私がこの役割を担うことになりました。体育主任は常に学校全体の行事に関わりますので、多くの先生とコミュニケーションをとらなければなりません。私が若いころはベテランの先生が多くいらっしゃったため、いろんな仕事を引き受けていただくのに大変苦労しました。しかし、そうした経験が今の自分に生きていること感じます。
また、研究主任という学校の研修や研究活動に携わる仕事もさせていただきました。私は教師になった当初から研究活動に興味があり、たくさんの研究授業もさせていただきました。学校での研修を通して身に付けたことがたくさんあります。そこで、この役割についた時には「先生方が充実感をもって取り組めるような研究活動を推進しよう」と思ったものです。しかし、実際はなかなかうまくいかず、現在もどのように研究活動を推進していけばよいか悩んでいるところです。これからも考え続けていきたいと思います。これ以外にもたくさんの経験をさせていただきながら少しずつ教師としての道を歩んでくることができました。
懐かしい道を歩いて
私は、埼玉県の私立文教大学の教育学部出身です。文教大学越谷キャンパスは目の前に元荒川が流れており、大変自然に恵まれています。都会のキャンパスとは違い、ゆったりとした雰囲気が漂っています。最近、自分の研究のために大学の図書館に行くことが増えました。文教大学では一般にも図書館を開放し、文献を利用させていただけるので、月に1回ぐらいのペースで懐かしいキャンパスを訪れるようになりました。
大学の前の元荒川の土手を歩きながら、20年前とほとんど変わらない風景を見ながら、ふっと懐かしい気持ちになることがあります。そして、教師になりたいと思って、毎日大学に通っていたころの自分の姿を思い出します。当時の仲間とまた一緒に歩くことはできませんが、当時の思い出が宝物のように思えます。
ここに来ると、いつでも20年前の自分に戻れます。そして、今、教師としてうまくいかないことに悩んでいる自分に、20年前の自分から、
「小さいことにくよくよするな。あれだけ教師になりたかったのではないか!」
と叱咤激励されている気持ちになります。毎回、この土手を歩きながら、20年間が走馬灯のように頭の中をめぐるような不思議な思いになります。
また、新たにスタートしたい
今年度、20年目の節目に6年生を担当させていただきました。現在、卒業を祝う会や卒業式の準備に向けて子どもたちと忙しい毎日を送っています。卒業式には私自身も教師として、その前半を卒業したいと思います。そしてまた新たな気持ちで出発したいと考えています。母校をこれからも時折訪ね、教師としての自分を見つめていきたいです。
菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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