さいたま市の人形作り
勤務校があるさいたま市には、全国に誇れる伝統工芸として、「岩槻人形」と「木目込(きめこみ)人形」人形作りがあります。岩月の人形作りは、経済産業省(経済産業大臣)が指定する「伝統的工芸品」に指定されています。現在も多くの人形工場でたくさんの人形作りが行われています。小学校では、社会科見学等で人形作りの様子を見学に行くこともあります。
見学などを通して、児童は人形作りが長い歴史をもっていることや、その技術を後世に伝えようとしている方がたくさんいることを学びます。また、人形作りは一つひとつが手作業で手間をかけて作られていること、また、人形の各部分が分業によって作られていることなども学びます。
現在担当する児童には3年生の時に、人形工場の見学や人形作りを取り上げた新聞記事を読む活動を通して、人形作りについて学びました。6年生になった今年度、人形作りの職人さんを招いて、木目込人形作りの体験を行えることになりました。今回体験する木目込人形とは、木で作られた人形に、衣服の皺や模様の形に本体に筋彫りを入れ、筋彫りに目打ちなどで布の端を押し込んで衣装を着ているように仕立てた人形であり、児童はその最後の衣装を人形に着せる工程を体験しました。
体験から学ぶ

児童は人形作り体験の事前活動として、人形に着せるための布を切る作業を行いました。型紙を布にのせて切っていくだけの作業なのに、布がなかなか切れなかったり、うまく形を整えられなかったりしてたくさんの時間を費やしました。簡単に見える作業でも手間がかかることを実感しました。
体験当日には、教室に岩槻人形協同組合の職人さんが数名来てくださいました。児童が準備しておいた布を人形に着せていく作業を行いました。人形につけられた溝にボンドを付け、そこに布を押し込んでいく作業です。児童は一つひとつの布をがんばって人形に着せていました。
「社会科見学で見学した時には簡単に見えた作業がこんなに難しいとは思わなかった」
「職人さんに手伝っていただいたら、すごくうまくできた。やっぱり職人さんの技はすごいなあと思った」
「一つひとつの作業が大変手間がかかり、難しいことを実感した」
など、児童は思い思いの感想を述べていました。職人さんの助けを借りながら、クラスの全員が人形を完成させることができました。
体験を終えて
体験を終えて、児童はさらに人形作りに関心をもつようになったようでした。自分の家にあるひな人形がどのように作られているかを調べた児童もいます。また、さいたま市の人形以外にどんな伝統的工芸品があるかを調べる児童もいました。
実際に体験することでその素晴らしさを感じられることが分かりました。今回の人形作りの体験を生かして、伝統的な工芸品を大切にしていってもらいたいと思っています。そして、さいたま市の人形を大切にしていってもらいたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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