2018.08.02
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体育授業力向上のための教授技術(⒈児童の安全確保)

前回は『体育授業力向上のために、この夏休みにできること』についてでした。
今回は『体育授業力向上のための教授技術』です。
まず始めは、1.児童の安全確保についてです。
どうぞよろしくお願いいたします。

大阪市立堀江小学校 主幹教諭   (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) 川村幸久

いうまでもなく…

一番先に考慮すべきは児童の安全!

体育は、他の教科学習に比べ、大きな怪我をしてしまう確率が高い教科であると言っても過言ではありません。
(決して怪我をしてしまうということを言っているのではありません)
時には、命にかかわる大事故につながる可能性もあります。
児童の安全確保に大切なことは
 ・ 先生が常に危機感を抱いていること
 ・ 未然に防ぐ手立てを講じていること  です。

では、どのような視点から児童の安全を見取ればよいのでしょうか。
今回は、次の4点についてです。
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 ① 児童の健康状態の把握
 ② 教師の正しい運動の行い方・特性理解
 ③ 施設、教材・用具等の入念な点検
 ④ 安全確保につながる指導の徹底
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①児童の健康状態の把握

児童の健康状態の把握は大きく3つの場面で整理できます。
 ・ 授業までに
 ・ 授業当日
 ・ 授業中

(授業までに)
まず、前担任と養護教諭から引継ぎを受けるようにしましょう。
また、年度初めの健康診断などの結果をもとに、保護者とも連携をとりながら、事前に児童一人ひとりの健康状態を把握するようにします。

(授業当日)
体育の授業当日は、教室での健康観察や、授業中の子供の動き・表情から、体調が悪そうな子がいないかを気を付けてみるようにします。
保護者から児童の体調についての連絡がないかも確認する必要があります。

(授業中)
授業中、指導者は、児童の安全面が十分に確保されているのかを常に確認して授業を行いましょう。
急な変化に対応できるように‼
・児童の急な体調の変化(怪我、熱中症等その他)
・学校全体や運動場、講堂の環境の変化(地震、不審者等その他)

②教師の正しい運動の行い方・特性理解

健康状態の把握の次は、教師の正しい運動の行い方・特性の理解です。
例えば跳び箱運動では、
 ・ 踏切
 ・ 着手
 ・ 支持
 ・ 着地
それぞれに注意すべきところがあります。
例えば、着手では、跳び箱の前方に手を開いてたたくようにつきます。
例えば、着地では、ひざを曲げて、手のひらをマットに近づけるようにして止まります。
教師が正しく理解して指導しないと、技能の定着どころか怪我をしてしまう可能性が出てきます。


③施設、教材・用具等の入念な点検

次は、施設、教材・用具等の入念な点検です。
授業を始める前には、必ず使用する施設、教材・用具については点検をしないといけません。
授業前の時間だけで十分に点検できないものについては、必ずそれより前の時間に確認しておかないといけません。

また、授業中であっても
 ・ボールが転がっていないか
 ・学習カードの置く位置は適切かどうか
 ・掲示物を貼っているボード等、倒れて来るものはないか
と、常に点検する必要があります。

④安全確保につながる指導の徹底

最後は、安全に関する指導の徹底です。
「先生や友達の話を静かに聞く」や「勝手に運動をしない」というような基本的な学習規律に加えて、

例えば、器械運動ではその授業の前に
 ・ ピン留めなど、頭をマットに着けた時に危ないものは外すこと
 ・ メガネをかけている人は、演技のときにはめがねを外すこと
 ・ 跳び箱を跳ぶときには、必ず『跳びます』とまわりの人に声をかけるよう大きな声でいうこと
 ・ 跳び箱の助走のときは、絶対に横ぎらないこと 等
安全確保につながる指導は徹底して行わなくてはいけません。

次回も、体育授業力向上のための教授技術について書いていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

引用・参考文献 Daryl Siedentop:著(高橋健夫:訳者)/体育の教授技術

川村幸久(かわむら ゆきひさ)

大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)
教師生活15年目。これまでの担任・教務主任の経験、大学院での学びを省察し、学級経営やICT活用、体育科教育を中心に、皆様と情報共有をさせて頂ければと思います。

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