2018.05.13
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『引用』を学習する授業で新聞活用

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

引用について知る

 高学年の国語科では他の人の意見などを「引用」して自分の考えを述べる学習を行います。児童が活用する国語教科書では、6年生になった思いをスピーチする言語活動を取り上げ、そのスピーチに自分が好きな言葉などを引用する事例が示されています。

 現行の学習指導要領には、高学年の「書くこと」に関する事項の中で、その指導内容として「引用したり、図表やグラフなどを用いたりして、自分の考えが伝わるように書くこと。」とあります。ここでは、自分の考えを根拠づけたり、具体的な例を示したりする際に、必要な文や語句を本などから抜き出して自分の表現に取り入れることが求められます。この学習で新聞を活用してみました。

 まず、授業の初めに、児童と「引用」が必要な理由を考えました。どんな場合に人の言葉を用いることがあるのかを児童に聞くと、

「自分が言いたいことを強めるために、有名な人の言葉を使う。」

「自分の考えの証拠となることを示すため。」

「自分の言いたいことを他の人に効果的に伝えるため。」

などの答えが返ってきました。この活動を通して、引用をすることでどんな効果があるかを理解できました。その後で、引用のルールとして、①正確に抜き出すこと②適切な箇所を抜き出すこと③出典を明らかにすることなどを確認しました。

引用を経験する(新聞活用)

 引用について理解した児童に、まずは言葉を引用して文章を書くことを経験させることにしました。児童の記憶に新しい、平昌五輪で活躍したスピードスケートの小平奈緒選手のインタビュー記事を取り上げました。この記事には金メダルをとった小平選手がこれまでのことをふり返ったり、ライバルである韓国のイ・サンファ選手への思いなどを語っていたりしていました。児童は記事を読み、小平選手のたくさんの言葉の中から自分が心を動かされた言葉を選ぶ活動を行いました。

「オリンピックでは強い欲が消えており、無の境地であった」

「言葉は自分を成長させてくれる源」

「自分が選んだ道だからこそ、ゆっくりだけど自分の成長を自分で確かめられた。」

など、たくさんの言葉が選ばれました。児童はこれらをもとに、小平選手の言葉を自分の想いと合わせてスピーチをするための原稿づくりを行いました。特に小平選手の物事に対してあきらめない気持ちでがんばるという言葉から、自分が6年生でもいろんなことにチャレンジしたいという考えを発表する児童が多かったです。

 新聞には、児童が現在関心をもっている事柄が多くのっています。新聞を取り上げることで、児童が活動への意欲をもち、学習を効果的に進めることができると考えています。今回の「引用」の学習でも、新聞活用が有効な手段と言えるでしょう。

自分が引用したいことを見つける

 小平選手の言葉を引用する経験をした児童は、今度は引用をしたスピーチの本番として、自分が引用したい言葉を探し始めました。戦国武将の言葉、科学者の言葉、好きなアニメの中の言葉など、いろんなところから引用したい言葉を探し始めました。どんなスピーチが聞けるか今から楽しみです。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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