学ぶことの必要性
教員生活も来年度で20年を迎えます。これまで、担当する子どもたちや勤務する学校などがかかえる課題に向かってひたすらがんばってきました。例えば、学校で算数を取り上げて研究している場合にはとにかく算数の指導法を体育の研究を行っている場合には、体育の指導法を、というようにその学校に合わせて自分自身の課題研究としてきました。また、担当する児童に関しても、特別に支援が必要である子が多い場合には、特別支援学校に学びに行ったり、特別支援に関する本を読んだりしてできるだけよい指導をしていこうとしてきました。
そのような中で感じたことは、教師にとって教師になるまでの学びだけで完結するものではなく、学びを更新していく必要があるということです。自分のもっている課題を解決するために、また、よりよい教育の実践をするために学ぶ機会をつくる必要があります。しかしながら、私自身、ちょうど子育てなどに忙しい時期で、経済的にも時間的にも自由が少ない状態です。そこで、放送大学での学びを選択しました。
放送大学での学び
放送大学は通信制の大学で、テレビやラジオ、インターネットを通して授業を受けることができます。比較的安い授業料で受講しやすい利点もあります。また、各県に学習センターがあり、参考図書を借りたり、学習相談ができたりもします。さらに、近年は大学院も解説し、修士号の学位も取得できるようになりました。(博士課程もできました。)
私は、数年前から放送大学と放送大学大学院で自分に必要な科目を受講するようになりました。これまで受講した科目は、
・生涯学習の理論と実践
・現代社会の心理学特論
・カリキュラム編成論
・教育行政と学校教育
・教育心理学特論
・心理・教育統計法特論
等です。授業に生かせる科目から、児童理解に役立つ科目、そして私が現在実践している指導法の効果を裏付けてくれるような科目を受講してきました。10年かけて少しずつ単位をため、数年前には大学院の本科に入学し修士号(学術)をいただくこともできました。自分の実践を取り上げた修士論文も書くことができました。放送大学での学びを通して、私自身が行っている実践に自信をもてるようになりました。
大学での学びを生かして
現在は、大学院を修了しましたが、さらなる学びを求めて、現在の自分の課題に合わせて科目を受講しています。今学期は、「発達心理学概論」を受講し、発達心理学を基本から学びなおしています。学部時代に学習した「ピアジェの発達理論」も実際に児童への指導をする際に生かせることを学びました。また、私が取り組んでいるNIE(教育に新聞を)や低学年からの辞書引き学習も、「まだ、こどもには難しいのでは」と批判を受けることがありますが、ロシアの倫理学者・ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」という理論で、その有効性が期待できることも学びました。
これからも、放送大学での学びを続け、私自身の指導と常にリンクをさせながらさらに子どもたちへのよい指導ができるようにしていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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