防災を自分事として捉えられるように
今年度の1月に勤務校の研究発表会で防災を取り上げた国語科授業を公開します。東日本大震災が起こって以来、各学校での防災教育が見直され、様々な取り組みが行われています。また、理科や社会などの教科書にもコラム的に震災のことが扱われるようになりました。しかしながら、児童が主体的に防災について学習をする機会が少ないと感じています。今回は国語の学習において防災をテーマに学習に取り組みます。
その前段階として、様々なサイエンスショーで活躍するサイエンティストであるドクターリンさんを学校にお呼びし、児童に防災についての授業をしていただきました。ドクターリンさんは、いろんな実験を通して、子どもたちに科学の面白さを伝えています。私が注目する理由は、ショーに参加する全員の児童に何らかの実験をさせてくれることです。今回も児童のためにたくさんのものを用意してくれました。
https://www.dr-ring-science.com/(ドクターリンさんの紹介です。)
サイエンティストと「エアジャッキ」づくり
今回の特別授業では、ドクターリンさんから防災の大切さのお話を聞いた後に、みんなで「エアジャッキ」を作ることになりました。強いポリ袋とホース、そして傘袋を切ったものだけで作ることができる簡易的な道具です。ドクターリンさんは、「もし机などに挟まれて動けない人がいたら、科学の力を使って救うことができる」と話し、児童と一緒にエアジャッキを作り始めました。
児童は夢中でエアジャッキづくりに取り組みました。
「どうして、吹き込んだ空気が戻ってこないのかな?」
「エアジャッキで自分の体も持ち上げられるんだ!」
「60キロの先生も持ち上がったよ!」
と、みんな大喜びで作ったエアジャッキを使っていろんな実験を試みていました。児童にとって身近な理科の学習が、今取り組んでいる防災学習にもつながることが分かり、大変良い勉強になったようです。
さらに学習を発展させる
今回、理科の特別学習として防災についての話をしていただいたり、防災に使えるエアジャッキを作ったりする活動を通して、児童は国語で取り組んでいる防災の学習と理科の学習をリンクさせて考えることができました。私自身ねらっていることは、児童が震災について、そして防災についていろんな角度から考えられるようにすることです。今回の取組はそういう意味でよいステップになったのではないかと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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