2017.12.19
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支柱のような教師に ~書く力UPで3つの「ション」もUP~(第5回)

 数年前、熊本県の阿蘇で行われた理科教育研究大会で、
当時の文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官の村山哲也氏の講演がありました。
 村山氏は「21世紀の理科には3つのションが必要だ。」と話されました。
 3つの「ション」とは。。。!?
 また、書く力を高めることは、3つの「ション」とどうつながるのでしょうか。。。!?
 今回は、書く力と3つの「ション」についてふれていきます。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

3つの「ション」は、自分の思いをもつことから

 3つのションとは、以下の3つです。
 「モチベーション」「コミュニケーション」「イノベーション」
 イノベーションを「技術革新」ととらえると科学に限定されそうですが、
新しい価値を創造し、社会的に大きな変化を生み出す、と考えれば、すべてに通じます。
 3つの「ション」は、「主体的・対話的で深い学び」につながります。
モチベーションをあげて、コミュニケーションしながら、イノベーションを展開する、
と単純なとらえ方もできますが、
それぞれの「ション」の中に「主体的・対話的で深い学び」があるように思うのです。

 例えば、コミュニケーション能力については、文部科学省の有識者会議にて
以下のように定義されています。(平成23年8月9日)

 「いろいろな価値観や背景をもつ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら、
人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、
対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力」

 コミュニケーション能力は、ただ話せばいい、というわけではないのです。
バックボーンには多様性を認め合える人間関係があります。
物事を多面的に見ることが必要です。
いろいろな考えがあることを知ることが必要です。

 そのためには、まずは自分の思いをもつことが大前提になります。
自分の思いがあるから「書きたい」「話したい」。。。「たい」が生まれるのです。

伸びを実感させよう

授業びらき時と指導後のノート

授業びらき時(上)と6月(下)の同じ子どものノートの比較

 書かない子どもは、スカスカのノートやプリントに慣れてしまうのです。 
 例えば4年生の理科。授業びらきは「春をみつけよう」。
初めて担当する子どもたちなので、どういう反応をするか。。。
様子を見ると「サクラ」「タンポポ」など、単語を書く子どもが多いこと、多いこと。

「サクラの木は一年中あるよ。サクラがどうしたのかな?」と聴くと、
「サクラの花が咲いて、散った」等と話します。
「だったら、そう書きましょう」と促します。
「いくつあったの?」「どこにいたの?」など、5W1Hで質問していきます。
話をしながら、書き加えさせていきます。
 バラバラに、文章で書くとわからなくなるので
「箇条書き」と「ナンバーリング」を指導していきます。
これは、社会科見学など、メモ活動にもつながっていきます。

「見つけたことを3個書きましょう」指示がはっきりします。
プラスαの意識を持たせます。5個書いた子どもをとりあげていきます。
ほかの子どもの参考になる子どもの書いた文章を紹介していくと、
困っている子どもへのヒントにもなりますし、
そこから新しい発見をする子どももいます。

 このあたりまでくると、自分自身で書くことが伸びたことが実感できてきます。
あとは書く材料を用意する。
例えば、ツルレイシやヘチマ、カボチャなどは、目に見えて成長がわかります。
畑に観察に行くと「書きたい」はずです。
「私の身長を追い越した」「葉は赤ちゃんの手みたい」「3つ実ができている」
「下の方より上の方が。。」「この前より30cm伸びた」
素敵な発言がとびかうようになります。

 「書いた中で一番言いたいことを声に出してみましょう。」
話す活動に結びつけることができます。
「一番伝えたいことを絵に表そう(作文にしよう)」書きたい視点がはっきりします。
「3番と5番は関係している」関連づけもできてきます。

心がけておくことは。。。

空気てっぽう学習1時間目のノート

自分なりに疑問を見つけながら、まとめているノート例

 書く力をさらに高めるために、教師が心がけておくことを5点あげておきます。
1 主語と述語を意識させる
  「何がどうなった」を意識させましょう。
2 1行あけて書かせる
  赤ペンをいれる際に1行あかせて書かせると、
 教師側としては、指示が書きやすいし、
 子ども側としては、アドバイスがわかりやすくなります。
3 間違いは基本的にスルーする
  重要語句を間違えている場合は改めて指導が必要ですが、
 「て」「に」「を」「は」程度の間違いは基本的にスルーします。
  指摘しても子どもたちは見ません。
4 具体的に褒める
  間違いの指摘より、褒める方が大切です。
 「よく気がついたね」「〇〇名人」など、
 教師側が効果的な褒め言葉の引き出しをもっておくことです。
5 指導する、評価する項目をはっきりさせる
  「黄色い花が3つさいていた」→「色がでているね」
  「7cmの実が、花がかれたあとについていた」→「数字があるとわかりやすいね」  
  「〇月〇日は5cmだったヘチマが15cmになっていた」→「前と比べているね」  
   項目を10個見つけたら「すばらしい×10」などと書いていくと、
  次も見つけようという意欲が高まります。

 できるだけ低学年のうちに、多面的に見て、書くことは行わせたいです。
1つのものを見て、10個の気づきを書く、
6年生にいきなりこんな指示を出すと、最初から「無理」。
それこそ、モチベーションが上がりません。
低学年では、チャレンジしようとする気持ちがあります。
「〇〇さんはもう7つ書いたよ」と言うと、いい意味の競争心がうまれます。
知的なプライドがくすぐられ、切磋琢磨する姿がみられます。
「15個書けた」自信につながります。
50,60,。。。書ける数が増えていきます。
自分の成長した姿が実感できます。
 数だけでなく、内容の高まりが見られます。
つまり、イノベーションが必ずうまれるのです。

 書く力を高めることは、3つの「ション」につながっていくのです。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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