2017.12.01
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支柱のような教師に ホワイトボードシートで「たい」を増やそう その3(第4回)

ホワイトボードシートを使った授業後の研究会で、いくつかの質問を受けました。
その中の一つに「どのように導入したらよいか」というものがありました。
この質問に対して、時間の関係上、あまり詳しく話すことができませんでした。
ここで、質問に対して、もう少し深く、詳しく書いてみたいと思います。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

「どのように始めたらいいですか?」

「自分のクラスでホワイトボードシートを使ったら、落書きしないかとか、きちんと書くか、など心配です。
どのようにホワイトボードシートを導入したらいいですか?」
 このような質問がありました。
 「落書きするか?」については、ノートでもワークシートでもリスクはあるので、気にしていては書く活動に入れません。
落書き等の指導のみに追われるなら、そもそもホワイトボードシートうんぬんではないでしょう。
 学級づくりと授業づくりは表裏一体です。
 子どもたちを信用しましょう。必ず書き「たい」はずですから。

目的・場面・約束

余談はともかく「どのように導入させるか」は本質的な質問です。
 大きく3つあります。「目的・場面・約束」です。

1 目的は何かをはっきりさせておく
 書きな「さい」はタブーだということは、再三書きました。
この活動は何のためにおこなっているのか、目的意識をもたせたいです。
「発想を広げたい」「問題を焦点化したい」「考えを収束させたい」
教師の「たい」と子どもの「たい」が合致すれば、
「次は何をしたらいいのですか?」という声はでないはずです。
 今回は、わかっているだろうと思うことを共有することが一つの目的です。
例えば「乾電池を反対にする」簡単そうですが、共有できていません。
「わかったつもり」「同じでしょう」「こう思っている」
実はちょっとずつずれているのです。
この違いを明らかにし、「違っている」ことを意識させるのです。
 さらにはそのプロセスを残すことも大きな目的です。
最初に考えていたことが深まったことがよくわかります。
変容を自己評価に役立てることができます。
もちろん教師評価に役立つことは間違いありません。

2 場面をはっきりさせておく
 いつでも、どの場面でもホワイトボードシートを使うわけではありません。
意見の違いがでない場合はノートやワークシートがいいです。
 どの場面でホワイトボードシートを使うか、まさしく授業づくりに関わってきます。
 場面を決めても、発問次第では使う意味をなくします。
今回の授業の場合、「乾電池を反対にしてごらん」と指示するのであれば
ホワイトボードシートは不要です。
「乾電池を反対にすると・・・」
この言葉を子どもたちから引き出すためにホワイトボードシートを使いたいのです。

3 ルールは簡潔に
 ルールを最初に3つだけ徹底します。
(1)みんなが書く(1人1本ペンをもたせます)
(2)一緒に書く(全員参加を保障します)
 ここまでは、子どもたちも納得します。次のルールであれっ?となります。
(3)きれいに書こうと思わない
 授業のまとめは、自分なりにきちんとノートに書いてほしいです。
ホワイトボードシートに、3~4行の文章をきれいに書こうとすると
書くことに時間がかかりますし、他の子どもが読むことにも時間がかかります。
 さらに、アドバイスしにくいです。
アドバイスされる方も「きちんと書いているのに」といい気分になりません。
 途中経過をその都度書いていく、そんな気持ちで書かせていきます。
 子どもたちは細かいルールは、慣れてくると自分たちで工夫してつくりあげます。
自己決定させる方が、しなさいと言われるより、守ります。

坪田耕三先生から学ぶ授業像

この原稿を書いたあとに、ちょっと思うことあって
坪田耕三先生の「和顔愛語」を再読してみました。
 そこに書かれている坪田先生が大切にされている3つの授業観。
「自分で考えること」
「人によって考えが違うこと」を知ること
「答えは一つではない」と意識できること

 坪田先生と同じように語るのはあまりにも失礼ですが、
私の授業観もほぼ同じです。
 まず自分で考えることをさせます。自分の考えなしには話し合いにはなりません。
その考えを出し合うことで違いを見つけていきます。
明らかに大きな違いがある場合もあれば、同じようなことを言っているけれど、
「ちょっと」ずれている場合もあります。この「ちょっと」が大切ですね。
 私は高学年担任、専科が多いので、特に最近感じることがあります。
「~だと思います。どうですか?」と発言した子どもに対して
全員で「いいです」という形。
中には「いいです」ではなく「同じです」と反応するクラスもあります。
特に「同じです」は違和感を感じます。
話をさせてみると絶対にまったく同じはありえません。
 算数で「2×9は」なら「18です」→「同じです」でもいいかもしれません。
しかし、答えの確認ならば、ほかの言い方が適しているように感じます。
ましてや、自分の思いを伝えるのに「どうですか?」→「同じです」は。。。


 話がそれてしまいましたが、坪田先生の3つの大切な授業観は
まさに「主体的・対話的で、深い学び」につながると感じます。
 私も「主体的・対話的で、深い学び」につなげるために
ホワイトボードシートを使うのだ、とまとめたいです。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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