2017.10.30
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支柱のような教師に ホワイトボードシートで「たい」を増やそう その1(第2回)

子どもたちは、いろいろなことを「~したい」と思っています。
「言いたい」「話したい」「やってみたい」「書きたい」等々。
ホワイトボードシートの活用を進めながら、「たい」を増やしていく取り組みを
2回に渡って紹介したいと思います。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

こんなに便利なモノがあるんだ

ホワイトボードを活用した学びの例

ホワイトボードを使った学びの後

私は授業の中で、ホワイトボードシートをよく使います。
 ホワイトボードシートとの出会いは、人権教育研修会でした。
「こんなに便利なモノがあるんだ。」これをどうやって授業に活用しようか?

 「グループのまとめ」をホワイトボードに書かせる活用例はよく見かけます。
よく見ていると、リーダーがまとめて、それを他の構成員が見ている。。。
確かに、きれいにまとまり、内容も十分です。
 しかし、学力上位の子どもがまとめてしまい、他の子どもが活躍していない。。。
 全員参加のまとめができないものか?
何より、あたたかい雰囲気の中で「ここがわからん」「あっそうか」
「ありがとう」などの言葉がとびかう学び合いができないものか?
 これを追究していこうと思いました。

私自身が使ってわくわくするモノを

前任校では、異動した年がいきなり研究発表でした。
少人数での学びの良さを伝える内容で、
「時間」「空間」「仲間」という3つの「間」を大切にする研究。
 私は「少人数理科」で、担任とTTで理科を行います。
理科の授業づくりを私が行い、担任の学級づくりを活かそうと考えました。

 正直、大変でした。1つの授業の準備でも大変なのですが、
2つの授業の準備をしなければなりません。
生物教材は、その時間にうまく育ってくれるわけではありません。
 また、空き教室や時間割など、物理的にどうしようもない問題もでてきます。
 安全面の配慮が必要な単元は、通常教室や廊下などの
オープンスペースを使うことは危険です。


 理科室の前と後ろを使うことが増えてきました。
前には黒板がありますが、後方にはありません。
 そこで、私自身がホワイトボードに書く、ことが多くなってきました。
ホワイトボードは黒板よりも狭いので、ホワイトボードシートに
私自身が書くことも多くなってきました。
 書きながら、黒板よりも気軽に書けるなあ、と思いました。
子どもたちに使わせてわくわくさせたいなら、
まずは、教師自身が楽しむアイテムでなければならないですからね。
 子どもたちにホワイトボードシートを使わせたい、
その気持ちは、まずます強くなっていきました。

全員がペンを持って参加する まずはそこから

グループで話し合う子どもたち

ホワイトボードシートを使って話し合う

「全員が黒のペンを持って参加すること」
とりあえず、このルールだけを作って、
あとは子どもたちとルールを作って行こうと思いました。
 最初は自分の班の名前くらいしか書かなかった子どもも、
自分の思いを少しずつ、自分なりに表現するようになってきました。

 「全員が一斉に書く」
 誰かが書くのを子どもたちは待っているので、
全員が一度に書こうと呼びかけました。全員が参加する意識がグーンと高まります。
似た考えがあると安心感がうまれますし、
困っている子どもへのヒントにもつながります。
様々な考えがあることもわかってきます。

 「きれいに書こうと思わない」
 子どもたちはホワイトボードシートにも、ノートのように「きちんと」
書こうとします。良くないことではありません。
 しかし、4,5行のまとまった文章がきちんと書かれてしまうと
アドバイスする側は、アドバイスがしにくいのです。
また、アドバイスされる側も、きちんとしたものに意見を言われると
あまりいい気分になりません。
 時と場合にもよりますが、私の中では
「不完全な状況で個からグループの話し合いに自然に移行する」
方がいいなあと思います。話し合いが盛り上がるのです。
書きながら話す、話しながら書く、自然に。

 自分の思いを自由に出させ、お互いの不足しているところを補いながら
自分の考えを高めていく、こういうサイクルを作り上げていこうと思いました。

「仲間」意識の高まりが深い学びにつながる

窓や壁にホワイトボードをはる

空間を使って「仲間」意識を高める

全員が一斉に書くことで「時間」の節約につながります。
少人数で話すことで、同じ時間の中での発言回数が増えます。
 
 ホワイトボードシートは「どこにも」はることができるので、
理科室のテーブルのみでなく、窓や壁を利用して、
全員が前を向いて話し合うこともできます。
「空間」をうまく生かせるのです。


 当然、子ども同士をつなぐので「仲間」意識も高まります。
 他のグループとの交流も高めたかったので、次のような活動も取り入れていきました。
〇「スパイ」と称して、他のグループの様子を観察し、いい考えを
自分たちのグループに持ち帰る。
〇1人だけをグループに残して、他の構成員は他のグループに移動する。
残った1人は、他のグループから来た子どもに、自分たちの考えを説明する。
アドバイスをうけたことを青色でかきとめる。
 再度、もとのグループに戻り、アドバイスをうけたことをいかした
話し合いをし、赤色で加筆したり、修正したりしていく。
 
 「仲間」意識を大切にして、子ども同士のつながりを高めていくと
話し合いの内容も高まることにもつながるのですね。

 この続きは、次の回で。

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
37年の教師人生を終えたが、もう少し学びたく再任用の道を選択。過去の経験を生かしつつ、新しいことにもチャレンジしていきたい。

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  • 今林 義勝

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  • 清水 智

    長野県公立小学校非常勤講師

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