2017.11.15
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支柱のような教師に ホワイトボードシートで「たい」を増やそう その2(第3回)

 先日、教師人生最後(?)の公開授業を行いました。5年生の「電磁石の性質」です。
乾電池の向きを入れ替えると、N極とS極も入れ替わることを理解することが目標です。

 実験はそれほど複雑ではありません。私が説明すれば、
また、成績上位の子どもが説明すれば、まとめも簡単に終わります。15分もあれば授業として成立します。
 ここでは「自分なりに説明する」ことをねらいたいものです。
そこで、ホワイトボードシートを活用する単元構成・授業構成を考えました。
 その実践例を紹介いたします。

熊本市立龍田小学校 教諭 笹原 信二

疑問を解決し「たい」

自分の思いを書き始める子どもたち

考えたことを、ホワイトボードシートに同時進行で書き始める子どもたち

 現在の勤務校の理科室は、廊下側の壁面が使えない構成になっています。
また、背面も掲示ができません。
 空間の利用が難しく、この学校ではホワイトボードシートをテーブルの上に置いて学習に利用することが多いです。

 「電磁石と棒磁石の似ているところと違うところをさがそう」という大きなめあてのもと、単元がスタートしました。
鉄は電磁石と棒磁石のどちらにもひっつく、電磁石は乾電池をつないだときしか磁石にならない、
などを見つけていきました。ここでも、ホワイトボードシートを使っています。

 「電磁石にも棒磁石と同じように、N極やS極があるか?」という疑問がでてきました。 
 その問題に対する解決方法を自分のノートに書かせたあと、ホワイトボードシートに考えを書かせていきます。
 書き「たい」気持ちをできるだけ早く実現させます。しかも、書く材料をもっています。

 全体で4つの方法がでます。
  1 電磁石を棒磁石に近づける  2 電磁石同士を近づける
  3 電磁石を水に浮かべる    4 電磁石を方位磁針に近づける

 どの考えも正しい方法です。しかし、4を先に行うと、結果がすぐにわかります。

 導入の「1本導線は磁石になっているか」の学習で「方位磁針は魔法のアイテム」と意識付けをしておいたので、
4の方法は一番最後にまわそうということになりました。(そのように仕組んだというのが正しいです。これも戦略です。)

 1は、強力磁石を使うとどちらも引きつけられます。2は、かすかな違いが見えます。
3は、何度かすると正しい方向を向くのですが、「しずんでうまくいかない」という声もあがります。
1~3では、スッキリしないということでまとまります。

 すでにホワイトボードシートには、さまざまな書き込みがされています。
棒磁石にはどちらも引きつけられるので「電磁石にはN極とS極はない」という考えを強くした子ども、
電磁石同士のかすかな違いに目を付けて「電磁石にもN極とS極がある」という考えを深めた子ども、
まだ迷っている子ども。書くことで見えてきます。

 でも、子どもたちは安心しています。「方位磁針は魔法のアイテム」。
方位磁針ではっきりすると、確信をもっています。

解決し「たい」

書き込まれたホワイトボードシート

自分の思いがつまったホワイトボードシート

 その状況で公開授業。
子どもたちは、早く方位磁針を使って、はっきりさせ「たい」と思っています。

 前の時間までの確認、結果の見通しをたてて、実験に入ります。
「あっ、動いた。」「こっちがNだ。」あちこちで声があがります。
授業開始約10分で結果がわかってしまう。。。

 1人の子どもを指名して、黒板に方位磁針カードをはらせます。
N極が左を向くようにはりました(1)。
うなづく子どもと、うん?という顔をする子どもに分かれます。
「うん?」という顔の子どもを指名すると、N極が右を向くようにはります(2)。

 (1)と(2)に意見が分かれたら、
私は耳を大きくして、つぶやきを拾うことに徹します。
説明してしまえば、5分もあれば終わってしまうからです。
 知らないうちに「乾電池の向きが違う」と言い始めますし、書き始めます。
 そのうちに4年生での学習を思い出したり、
5年生1学期の発芽実験での条件をそろえることを思い出したりします。
 ファシリテーターになって、言い「たい」、書き「たい」を広げます。
間違っても「前にならったろ。」などと言ってはいけません。
せっかくのつながりが途絶えてしまいます。
(1)(2)の違いは、乾電池の向きだけなのですが、
ホワイトボードシートを使って話し合いをすると、
あっという間に時間がたちます。

主「たい」的で、「たい」話的な学びに

電流の向きが変わると、極が変わることを説明する

電流の向きが変わることで、N極とS極が入れ替わることを説明する

 肝のキーワードは「電流の向き」です。
「乾電池の向きが変わると、モーターが反対にまわる。」
ことは説明できても、
意外と「電流」という言葉はでてきません。
 この言葉を出させるには、それ以前の布石が必要となるでしょう。
今回は、子どもたちから「電流」という用語を引き出すことができました。
これもホワイトボードシート効果だと思っています。

 授業の終わり頃になると、グループのホワイトボードシートだけでなく、
理科室に用意しておいたホワイトボードや、
マグネット付きのホワイトボードに書いて説明し「たい」子どもが
続々でてきました。

 ホワイトボードシートを活用することは
「主体的で、対話的な学び」につながることは実証できました。
主「たい」的で、「たい」話的な学び、と言った方がいいでしょうね。

 授業研究会で出てきた課題、私が感じている問題点について、
次の回でお話ししたいと思います。


笹原 信二(ささはら しんじ)

笹原 信二(ささはら しんじ)

熊本市立龍田小学校 教諭
京都生まれで熊本へ。高学年担任が多く、現在は理科専科。熊本地震を経験して、防災意識を高めることの必要性を再確認。教師生活はあと残り半年。学び続けたい気持ちは誰にも負けないつもり。

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