ふり返り力はどうすればつく?
「ふり返り」ができるようになると、「自分」のことをより見つめられるようになります。どうやってその力は向上していくのでしょうか。
京都教育大学附属桃山小学校 教諭 若松 俊介
「ふり返り」は誰のためのものでもありません。
何があっても「自分のため」のものです。
自分事だからこそ「書こう」と思えます。
では、どうすれば深いふり返りを書くことができるようになるのでしょうか。
はじめは、どうしても日記のようになると思います。
・〜しました。
・〜に行きました。
と事実が多いです。
これまでも日記を書く経験が多いからでしょうか。
たくさんの事実を思い出して書くことはできます。
ただ、内面まで深く入り込むことができません。
これはこれでいいことだと思います。
ここでいきなり、
「もっと深く書きましょう」
「もっと感じたことや考えたことを書きましょう」
なんて言われても分かるはずがありません。
これではふり返りの「正解」を探していくことになります。
変な「反省文」のようになってしまうこともあります。
そもそも、ふり返りと反省文は違います。
「過去」ばかり見ていくのはしんどいです。
「過去」も見て「未来」も見るのがふり返りです。
・次はこうすれば
・こんなことをやってみよう
と、子どもたちにとってワクワクする場になればいいなと思います。
「書きたい」「書こう」はここから始まります。
もし、日記的なものが多いのであれば、
子どもたちに「日記とふり返りの違い」を聞いてみるのがいいでしょう。
教師がいくら「日記とふり返りは違う」と言っても仕方ありません。
子どもたちの中で違いを見つけていければ良いかなと思います。
「日記は○○、ふり返りは△△」と考えていく中で、
ふり返りの価値を自分たちで見つけていくことができます。
4月からその繰り返しを続けていくしかありません。
指導って、方法を教えることも大切だけど、
「自分事にする場をどれだけつくれるか」だと思います。
自分の中での意味付けをどれだけ更新していけるか。
一人では気づけないことを仲間と交流することで見つけていけます。
こうして、ゆっくりゆっくり成長していきます。
基本的にふり返りについて、私はごちゃごちゃ言いません。
「くわしく書きなさい」
「1ページを書きましょう」
「接続詞を使いましょう」
なんてもんじゃありません。
書くのがしんどい時もあるかもしれません。
そんな日は休んでもいいと思っています。
それくらいの方が続けられるし、自分のものにしていけます。
もっと詳しく知りたいなぁと思ったら
「どういうこと?」と聴いてみたり、
インタビューしてみても良いかもしれません。
はじめは1行も書けない子もいます。
そんな子にはインタビューしながら一緒に書いていくと良いでしょう。
「思ったことをそのまま書く」
ということが難しい子もたくさんいます。
あくまでも「一緒に書いていく」の感覚で、その子の書きたいことを引き出していきます。
そこからどんどん一人でも書けるようになっていけます。
ふり返りに限らず、どれだけ「自分事にできるか」だと思います。
ふり返りなんて正にそんな場ですよね。
ここを地道に続けていくと、
他の場面でも活かせることが増えていきます。
やっぱり一歩ずつ一歩ずつの繰り返し。
そこに教師がどう関わっていけるかですね。
皆さんがどう「ふり返り」を指導されているかも聴いてみたいです。
また教えてください。よろしくお願い致します。

若松 俊介(わかまつ しゅんすけ)
京都教育大学附属桃山小学校 教諭
「子どもが生きる」授業を目指して、日々子どもたちと共に学んでいます。子どもたちに教えてもらった大切なことを、読者の皆様と共有していければ幸いです。国語教師竹の会所属。
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