人生は、仮説と実行の繰り返し。
学級のテーマです。試行錯誤の場を大切に受け止めることで子どもたちは、どんどん成長していこうとします。
京都教育大学附属桃山小学校 教諭 若松 俊介
毎日、子どもたちは「1日のふり返り」を書いています。
だんだん子どもたちは自分の言葉で「自分」を見つめられるようになります。
はじめはこちらからテーマを掲げることもありましたが、
今では自分たちでテーマを見つけてふり返っています。
「人生は仮説と実行の繰り返し」が学級でのテーマです。
まず、「こうすれば・・・」をどんどんやってみる。
「うまくいかない」は宝物であり、大切にする。
段々と、自分(たち)失敗を責めるのではなく、
「次にどうすれば・・・」を見つけていこうとします。
自然とふり返りには小さな「仮説と実行」が書かれています。
個人的なものもあれば学級に関わるものもあります。
子どもたちがこうしたことを自由に出すためには、
仮説と実行の繰り返しを受け止められる余裕が教師にあるかどうかだと思います。
「こうあるべき」「ああすべき」が教師にありすぎて、
子どもたちの「こうしてみたい」「ああしてみたい」が受けとめられない環境であれば、
子どもたちは、自分たちの事について本気で考えようとはしません。
教師がどのような学習環境をつくっていくかで子どもたちの行動は変わります。
つれづれ日誌で子どもたちのふり返りを紹介することがあります。
見ていただいている先生方や学生のみなさんから、
「どうしてそんなに書けるようになるのですか」
「どうしてこんなに深く書けるのですか」
という質問をいただきます。
私としてはそんなに「書く」ための指導しているつもりはありません。
ただただ、子どもたちが「書こう」とする環境づくりを心がけています。
私よりももっと「今よりも良くなりたい」と思っている子どもたち。
教師である私自身も、これまでたくさんの失敗を重ねてできることが増えてきました。
だからこそ、子どもたちの「仮説&実行」を丁寧に見守る。
ついつい口出ししてしまいそうなことをあえて口出ししないことが大事かなと思います。
私たち大人の「今」からの引き算で、子どもたちの「今」を観てしまってはいけません。
また、子どもたちは子どもたち同士の言葉に響き合います。
お互いのふり返りを読み合ったり、ふり返りをもとに話し合ったりして、
「こうしてみよう」
「こうしてみたい」
「こうすればいいんじゃない?」
がどんどんつながっていくことによって、
教室の「仮説と実行」を支え合う文化が生まれてきます。
文化が生まれると、自分たちのことを考えることが当たり前になってきます。
自分のことを深く考えれば考えるほど、自分の未来につながっていく。
こうした経験が、さらに次に深く考えていくことにつながります。
こうすればしっかり書けるようになる。
こうすれば深く書けるようになる、なんてありません。
自分のことを「自分ごと」として捉え、次の自分のために書いていく。
この繰り返しを受け止めて広げていく。
こんなことをこれからも大切にしていきたいと思います。
次は、一つの具体例を中心に書いてみたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

若松 俊介(わかまつ しゅんすけ)
京都教育大学附属桃山小学校 教諭
「子どもが生きる」授業を目指して、日々子どもたちと共に学んでいます。子どもたちに教えてもらった大切なことを、読者の皆様と共有していければ幸いです。国語教師竹の会所属。
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