研究発表会授業づくりに向けて
今年度の1月に勤務校の研究発表会でNIEを取り上げた国語科授業を公開します。児童が防災について調べたことを新聞にまとめるために、調べたことを発表し合う学習を予定しています。この取組に向けて、事前の準備をスタートしました。この公開授業で指導する単元の準備として、児童にどのような力をつけていきたいのかをはっきりさせることからスタートしました。児童につけたい力とは以下のものです。
・自分が興味関心をもったことを進んで調べる力
・調べて分かったことを書く力
・書いたものをもとに友達に発表する力
・友達と協働して学習する力
これらの力を育成するための学習を行っていく予定です。
つけたい力を日常の活動とつなげる
児童につけたい力がはっきりとしたら、取り上げる授業と連動させて、日常の取組の工夫を行います。まずは、これまで行ってきている新聞のスクラップ活動です。児童は年度当初から、新聞に親しみ、丸ごと1部の新聞から気に入った記事を選んでスクラップをしてきました。その活動をさらに発展させ、スクラップした記事をもとに、友達に記事の内容を紹介したり、自分の考えを述べたりする取り組みを始めました。
友達に紹介するという目的が加わったため、児童の記事選びもこれまで以上に真剣になります。また、発表は「30秒プレゼン」で行うため、話す内容をしっかりと考えなければなりません。この取組により、児童が、自ら情報を選び、その情報について考え、発表する力を付けられると考えています。
次に、自分の考えを書く活動の日常化です。さいたま市で行っている学習状況調査の結果で、「自分の意見を友達に伝えるのが難しいか」という問いに対して「難しい」「どちらかといえば難しい」と答える児童が半数近くいる状態であり、担当するクラスの児童も同じような割合で難しさを感じていた。そこで、自分の考えを書くことに抵抗感をなくすために、毎日書く活動を取り入れていくことにしました。
具体的には、帰りの会の前に連絡帳を書く際に、「三文作文」を取り入れて、その日にあったことについて短い文章を書くことにしました。児童は、その日で楽しかったことや心に残っていることを保護者に伝える目的で、楽しく書くことができています。この活動を続けることで、授業において、自分の考えを書く際に苦手感をもたずに取り組めるようになると考えています。
児童の変容を評価していく
前述した取組を行いながら、児童の成長をしっかりと目に見えるような形で示していきたいと考えています。児童は自分の成長が見えることでさらに学習に対して意欲的になってくると思います。具体的には児童の作品を掲示したり、全員の前で紹介したりする活動のほか、学級だよりなどでの作品紹介も行う予定です。
日常的な活動を授業につなげる工夫を今後も行っていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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