2017.10.14
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「児童の文脈に入った授業をデザインする」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

「児童の文脈に入った教材」を意識

 現在、来年の1月に行う、国語力向上研究発表会での公開授業に向けて準備を進めています。勤務校では、児童が自信をもって、自分の考えを表現し、友達と交流できる力を養うため、昨年度より国語科と特別活動を中心に研究に取り組んでいます。その成果を1月に発表します。

 私も公開授業を行い、国語科で「防災」を取り上げる予定です。東日本大震災を題材に、児童が身の回りの防災について考え、調べ、分かったことを友達と発表し合う活動を行います。この題材を取り入れた理由は、題材が「児童の文脈に入ったものか」を意識したからです。平成18年度から20年度にかけて、国立教育政策研究所で「キー・コンピテンシー」を伸ばすための教育法の研究が行われました。そこでは学習に取り上げる題材が「児童の文脈に入っているか」つまり、児童が興味関心をもつものであるかが強調されていました。私もその研究に参加し、携帯電話を取り上げた実践を行いました。

 今回は、東日本大震災について多方面から取り上げ、児童が興味関心をもって取り組みながら、国語力を伸ばしていけるような授業設計を考えています。そのために以下のような工夫をしていきたいと思っています。

1 NIE(教育に新聞を)との連動

 勤務校では、NIEに積極的に取り組んでおり、日常的に児童が新聞に触れる機会が多くあります。例えば、昇降口や学年掲示板に常に新聞記事が貼ってあり、学習内容とリンクしたニュースにいつも触れています。また、新聞のスクラップ活動も定期的に行い、児童が自分の関心のある記事を選んで、記事を読む活動も行っています。

 このNIEと連動させ、東日本大震災について新聞から学んでみようと思っています。また、震災を取材した新聞記者をゲストティーチャーとして招聘し、児童が疑問に思ったことなどを逆に取材する活動も行います。そのような活動を通して、児童が震災について自分事として捉えられるようにしていきます。

2 理科の学習とのリンク

 3年生の理科では、ゴムや磁石などの学習を行います。それらに関心をもたせるために、理科の専門家をお呼びし、サイエンスショーを行います。その中で、地震に関する内容のお話もしていただく予定です。児童にとって、国語で学習している地震の内容が理科でも関連して出てくることによって、より理解が深まるのではないかと考えています。

3 特別活動とのリンク

 最後に、実際に行う避難訓練でも今回の実践と結び付けたいと考えています。通常行う避難訓練を発展させて、事前に、大きな地震が起こったらどんな危険があるか、またどんなことに困るかを考えさせておくようにしたいと考えています。そして、実際の避難訓練を通して感じたことを友達と話し合い、よりよい避難の仕方について学習していきます。このような経験をすることによって、国語科で取り上げる防災指導にも意欲が増してくると考えています。

 今回の実践では、様々な教科や領域等の学習ともリンクをさせながら、指導をしていきたいと考えています。そして、児童が生き生きと活動し、同時に国語力も向上させていけるようにしたいです。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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