2017.09.24
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「教育実習生の指導で心がけたいこと」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

今年度も教育実習生の指導を担当

 ここ数年間、毎年教育実習生の指導を担当しています。担当している学生さんは主に中学校の教員免許状取得のために勉強にいらっしゃる学生さんです。いつも、学生さんの真摯な態度に感心させられています。私自身、約20年前の教育実習での出来事は昨日のことのように思い出されます。慣れない現場で、毎日子どもたちと接したり、授業に取り組んだりしていました。この数年、実習生を受け持つようになり毎年新たな気持ちになります。今年度、実習生の指導に当たり、心がけたいことを3つ考えました。

1 実習生に教師の楽しさを知ってもらうこと

 毎年、指導をさせていただく実習生はいつもやる気に満ち溢れています。そして、積極的に子どもたちと触れ合い、そこから教師の仕事について学んでいます。実習生に一番学んでほしいことは、教師の仕事の楽しさです。教師の仕事の楽しさとは、子どもたちの成長を目の前で見られること、そして、自分が授業を工夫できることであると考えています。そのために、子どもたち一人ひとりをよく見ること、そして、マニュアルに頼ってばかりいないで、自分で考えた指導にチャレンジしてもらおうと思っています。

 私も実習生だった時に、社会科で「火事をふせぐ」という単元の授業をしましたが、火事の様子を見たことがない児童が多いので、写真だけでなく映像資料を用意して火事の怖さを伝えました。また、授業の内容には関係のないと思われるような資料を児童に見せて関心を引き、知らないうちに授業の内容に興味関心を持たせるようにもしました。うまくいかないことが多かったのですが、教師の仕事の楽しさを十分に感じることができました。実習生にもぜひそのような姿勢で勉強してもらいたいと思っています。

2 指導を担当するクラスの児童を違った角度から見ること

 また、実習生の指導中には教室のうしろで授業を観ることが多くなります。そこで、担当しているクラスの児童の様子にも注目してみたいと思います。普段授業をしていて、34名の児童全員に十分に目が配れているかと考えると心もとなくなることがあります。そこで、教室の後ろから、児童の様子を観察し、気づいたことを自分の授業に生かしていきたいと考えています。

 そして、授業中に私自身もTTのつもりで児童の指導に当たり、児童がどのような場面で躓くのか、また、どのようなことに興味関心を抱くのかを、いつものように教卓から見ているのとは違った角度から見てみるつもりです。きっと新たな気づきがたくさんあると思います。

3 教師として、私自身が初心に戻ること

 最後に、実習生を見ながら、私が教師になったころのことを思い出してみたいと思います。新任のころは、思いが先行してしまい失敗をすることが多くありました。しかし、先輩の先生や子どもたちから助けてもらい、少しずつ教師の仕事を覚えてきました。

 教師生活ももうすぐ20年になるので、少し慣れすぎてきたかなと感じることがあります。自分なりに授業の工夫や学校全体としての仕事を頑張ってはいますが、新任のころのように我武者羅に児童と活動したり、ちょっと無茶な実践などをしたりすることがなくなりました。仕事面では効率よくこなせるようになりましたが、教師の情熱が少し下がっているのではと感じることがあります。実習生の指導を通して、自分が若かったころのことを思い出し、もう一度新鮮な気持ちで教師の仕事に向かえるにしていきたいと思います。

(写真は教育実習生を受け持つ時に作っている指導ノートです。)

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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