2017.10.17
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幼稚園・保育所・保育園の運動会から学んだ6つのこと

昨年来から,幼稚園・保育所・保育園の運動会,そして中学校の体育祭を見に行かせてもらう機会が増えました。
こういう仕事もあるんだなあと感じていました。しかし,幼稚園・保育所・保育園の運動会を見ていると,新しい視点や新たな考えを得られるチャンスとなりました。

ちょっと,雑感のような記事になりますが,よろしくお願いします。

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV) 関田 聖和

やっぱり見てしまう先生方の動き

小さい体で精一杯走り,一生懸命に演技する子どもたちを見ているだけで,
幸せな気分になってしまいます。どの大人にもこのような時期があったと思うと,
不思議な感覚もうまれます。

大人の責任って,やっぱり重いのだと気づかされる瞬間でもあります。

でも一方で,職業柄,先生の動きを見てしまいます(笑)

まず感じたのは,職員の子どもに対する動きが優しいということです。
そりゃ,小さい子ども相手なのだから,当然だろうと思われる方もおられるかも知れませんが,

かけっこのゴール先で待っている先生。
途中でこけると,立つまで見届けた後,一生に走り出す先生
リレーで周回遅れになると,後ろから追っかける先生
そして,それを実況する放送担当の先生
子どもたちの演技に近いところ(指揮台に上がらず)で,演技の指揮をする先生
緊張からなのか,演技に入れず泣いている子どもをじっと抱きしめてる先生
この日までの何かのエピソードがあるのか,子どもの演技に涙ぐむ先生

もちろん,小学校でもありうる光景ですが,感動した場面です。
言葉かけの優しさも,印象に残りました。
小さい子どもと先生のやりとりが,本当に,微笑ましいんです。

演技の構成も,子ども目線

演技を見ていると,驚きがありました。
2つの園で見ました。その演技ですが,かけっこです。
私が勤めている学校は,子どもの数が少ないので,呼名をします。
そして走ります。

さてその園では,全員が走り終わり,結果発表へ。
発表後の結果に悔しがる子どもたち。
すると,指揮の先生が,
「次も,頑張るぞ!」
子どもたちが,「おうっ!」
私は,えっ!(笑)

まさかの2回戦!
が始まりました。

100人を超える子どもたち。かけっこの2回戦に!これには,驚きました。
そして2回戦の結果は,違いました。なるほど……と思いました。

演技によっては,学年を2つに分けて入場のタイミングをずらしました。
小学校では,時間がかかっても,全員をトラック内に入場し,演技をしますが,
百人を超える園では,2回に分けました。

決して園庭が狭いのではありません。
この運動会の会場は,卓球の世界戦を行うほどの立派なアリーナ会場。
充分すぎるほどのスペースがあります。
子どもたちの集中度を考えての配慮だなと感じました。

子どもたちへの指示も……

演技の指示も,号令を出すための準備,予令が随所に聞かれました。
それも子どもたちもいっしょに大きな声で言い出します。

 先生:「1234!」
 子どもと先生:「歩き出す!」
   と行進開始。

 先生:「1234!」
 子どもと先生:「引っ張って!」
   と,パラバルーンを引っ張り出す。

 先生「前へならえ!」
 子ども:「はいっ!」と言って,手を挙げる。


また,先生も演技図を考え抜かれているのか,子どもたちの演技後の導線も自然でした。

教具の使い方の工夫

幼稚園・保育所・保育園に行くと,本当によくすごいと感じるのが,
牛乳パックの使い方が上手(笑)

演技中に使う,机や台。
軽く感じる小道具。
これらは,子どもたちがぶつかっても,表情に変化がありません。

コーンは,立てるものと考えていたわたしに,
寝かせて置いて,走るコースになっていたのには驚きました。

棒を4人で持って旗を回ってくる回旋リレーでは,
マットを置いてその中に棒を置けば,バトンタッチのルール。
こうすることで,子どもが倒れ込んでも安全ですし,ルールも安易になり,いいなと感じました。

これは,今,少しずつ小学校でも見かけるようですが,ラインも,色を使って分けられていました。

年齢ごとの演技のねらいが見える

保育所・保育園となると,0歳児から演技をします。
年長児と比べると,6年間の差があります。

演技の中で,「こんなことを頑張っています」と,
説明のアナウンスがされることもあります。

はいはいをして,小道具を取りに行ったり,
よちよち歩きで先生に近づいたりする中で,
つかんだり,自分の体を支えたりと,
発達の段階を見極めて、演技に取り組んでいることが,
はっきり見て取れます。

また,3年ばかり見ているところでは,
あれ?前は,こんなことしなかったけど,この子どもたちだからなのかな。
と思う演技をすることもあります。
その年々で子どもたちを見て取り組んでいるようです。

つまり,この年齢,小学校で言うと,
この学年は毎年この競技だから……ということが少ないようです。

また,年長の表現活動には,小さい子どもたちがあこがれをもつように,
取り組んでいるのだとか。

小学校の高学年が取り組む演技も,昨今,見直しが叫ばれていますが,
安全第一に取り組みつつ,こういった憧れなどの心の面も大切にしながら,
取り組みたいです。

個々の支援満載

個々の支援が素晴らしい
とにもかくにも,子どもたち一人一人への支援が
素晴らしく見えます。

小学校と比べると少し丁寧過ぎじゃないのと考える人もいるようですが,
個への対応の毎日だと思うので,極自然なのでしょう。

でも決して,丁寧過ぎることはないと考えています。
させなくていい失敗は,させなくてもいいのです。

運動会を始めとする行事。

行事で育てる,行事で育つと同時に,
行事が育てるような,行事を仕組んでいきたいものです。



ご一緒に学びませんか。
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関田 聖和(せきだ きよかず)

兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
主な単著:『楽しく学んで国語力アップ!「楽習」授業ネタ&ツール』(明治図書)、『新学期から取り組もう!専手必笑 気になる子への60の手立て』(喜楽研)、『専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり』(黎明書房)、国語・算数が苦手な子どもへの個別支援プリントシリーズ(全10冊:清風堂)
その他、特別支援教育すきまスキル(明治図書)等共著多数。

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