1学期を終えて
1学期を終え、夏休みに入りました。現在、担当している3年生のクラスで、1月に行われる本校の研究発表会において、NIEを取り上げた国語科授業を公開します。今年度のつれづれ日誌では、そのための取組を紹介しています。
1学期は、公開授業を意識した取組を行ってきました。例えば、1日に必ず1回は、全員が友達に自分の考えを発表したり、自分で考えたことを書いたりする活動を取り入れました。また、新聞を活用した授業にも積極的に取り組み、児童も新聞に親しむことができました。
しかし、課題面として、児童の授業規律の徹底があまりうまくいかなかった点が挙げられます。現在担当する児童は元気で大変活発なのですが、お話を聞くのが大変苦手です。よく、「黄金の3日間」と言って、年度当初にクラスづくりをするための大切な期間があると言われますが、現在の学級では、初日から私語が多く、指示を出すのに苦労しました。また、集団行動が苦手で、全員で揃えて挨拶をしたり、並んで移動教室をしたりするのも苦手です。さらに、特別に支援を要する児童もおり、さらに個別の支援が必要であることも実感しました。こうした点を2学期以降改善してきたいと考えています。
児童のよさを生かしていく
しかし、児童の課題面を克服していくという視点だけではなく、児童のよいところを生かすことも考えたいと思います。元カリスマ体育教師であり、私が指導を受けた、原田教育研究所の原田隆史先生から「主体変容」という言葉を教えていただきました。これは、何かうまくいかないことがあるときに、相手を変えるという視点ではなく、自分が変わることで相手に影響を与えていこうとする考え方です。児童について課題もありますが、1学期に授業を行っていて、児童が得意だと思った点がいくつかあります。例えば、
① 自分で主体的に本などから調べる活動が大好き
② 発表など、いろんな方に見ていただくことでやる気が出てくる
③ 友達同士で協力して何かを作るのが大好き
などです。
①の主体的な活動では、何度か学校図書館で自分の興味があることを調べる活動を行った際に、全員が集中して取り組んでいました。きっと、児童はお話を聞いて誰かに教わるというよりは「自分で調べたい」という気持ちがあるのでしょう。また、②では、学級に新聞記者さんが取材に来た際に、児童全員が活動に主体的に取り組んでいました。きっと、誰かに注目されることで、やる気が出てくるのではないかと思います。そして、③では、友達と協働することで、楽しく活動できているのではないかと思います。
児童の課題となる面を克服していくことも行いますが、同時に児童のよい面を生かした授業づくりも視野に入れて、今後取り組んでいきたいと考えています。
授業のプラン設計
以上のような視点で、これから公開授業のプランを改善していきたいと考えています。具体的には、児童が学習内容について自分で探究できる活動を取り入れることです。また、探究した内容を友達同士で紹介し合い、協働で新聞を作る活動を行う予定です。さらに、最後の発表では、子どもたちにゲストティーチャーとして参加していただいた方たちに、児童の発表を聞いていただき、コメントをいただくようにします。児童全員が主体的に学習に取り組めるような授業プランの工夫をしていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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