2017.07.30
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「取材授業を研究授業として実践する」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

北海道新聞社からの取材依頼

 今年度、1月に行われる本校の研究発表会において、NIEを取り上げた国語科授業を公開します。現在、3年生の児童と新聞を活用した取組を行い、新聞を効果的に活用できるようにしています。

 そのような中、北海道新聞社のNIE推進センターより取材の依頼がありました。取材の内容は「新聞のワークシートを効果的に使った実践」について知りたいとのことでした。今回依頼を受けた公開授業を、研究発表会の予行演習として取り組むことにしました。

 研究発表会では、児童が自分たちで調べてまとめた新聞を発表する授業を行う予定です。その実践に向けて、今回は新聞写真がついた記事から、季節の情報を読み取り、オリジナルの俳句を作って発表する活動を取り上げました。

NIEを充実させていく(指導の実際)

 3年生の国語科では、俳句に親しむ学習が取り入れられています。俳句とはどのようなものかを学習し、実際に自分でも俳句を作ります。ここに新聞を活用しました。新聞社から提供された北海道の風景を撮影した新聞写真から、児童が感じたことを俳句にする学習を設計しました。

 児童は、新聞写真が付けられた記事の中から、季語になりそうな言葉や俳句に使えそうな言葉をさがしました。

「先生、チューリップは春の季語になるね」

「先生、景色という言葉は俳句に使えそうだよ」

「においという言葉も俳句に使うといい感じになりそう」

など、記事を詳しく読みながら、写真の中の様子について考えることができました。

 俳句を作った児童は、次に友達同士で発表する活動を行いました。友達の俳句の発表を聞いて、児童は同じ写真からでも一人ひとりが感じていることが違っていることが分かり、とても興味深く思っているようでした。

今回の実践の成果

 今回の実践を通して、多くの成果が得られました。前回の実践で児童の作業についての指示が多すぎて、児童がやるべきことに迷ってしまうことが課題としてあがりました。今回は、記事から季語や俳句に使える言葉を抜き出すこと、そして後半はその言葉を使って俳句を作ることと大変シンプルでした。そのため、児童全員がきちんと俳句を作ることができました。

 また、前回は児童が取り上げた活動に慣れておらず、活動の仕方に迷ってしまうことがありました。しかし、今回は授業だけでなく業前の時間にも取り上げた俳句を扱うことで、児童が安心をして活動することができました。

 今回の課題としては、児童が俳句を作る活動に時間を多くとりすぎてしまったことです。グループで児童の俳句を発表する時間をとりましたが、児童はせっかく作った俳句をみんなに発表したいと思っているようでした。次回は児童が発表する時間も多くとるようにしていきたいと思います。この課題を次回の実践に生かしたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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