新聞を児童の身近なものに
今年度行う予定の研究発表会で「国語力向上」をテーマにした授業を公開します。そこでは児童が新聞を通して調べたことをお互いに発表し合う活動を行います。そのために、年度当初より、NIE(教育に新聞を)の一環として新聞スクラップをスタートしました。新聞スクラップを通して、新聞に慣れ親しみ、書く力や考える力を伸ばしていきたいと考えています。
しかし、新聞を児童にとってさらに身近なものにしていくためには、普段の授業においても、積極的に新聞を活用しなければなりません。自分が学習していることと社会的な事象が組み合わさることで、さらに学習内容の理解が深まるはずです。そこで、研究発表会の授業準備として、そして、各教科の授業の充実を図るねらいで、各教科の授業でNIEを取り入れることにしました。
算数でのNIE
まず、はじめにNIEをスタートしたのが、算数です。3学年の算数で「長さ」のを学習する単元に新聞を活用しました。児童は、教室の長さや木の周りの長さなどを具体的に計測しながら、巻き尺での長さの測り方を学習しました。さらに、「道のり」や「距離」などの言葉を学習し、長い長さの単位である「㎞」についても学習しました。
そこで、児童に一人一分ずつ新聞を配り、新聞の中から「㎞」や「m」などの長さを表す単位を見つける活動を行いました。児童は大変意欲的に新聞をめくり始めました。
「先生、住宅の広告のところに1500mとあったよ。」
「先生、テレビ欄に9mmという長さがあったよ。どんな番組なのかな。」
「天気予報で、風力のところに5mとあったよ。降水量のところには5mmとあるよ。」
「渋滞の記事のところに25kmという長さがあったよ。」
と、一部の新聞からたくさんの長さを見つけることができました。そして同時に、社会の中で、自分たちが現在学習している長さが多く用いられていることにも気が付きました。児童にとって、社会的事象と学習内容がリンクした瞬間でした。算数では、あまり新聞活用の実践がありませんが、学習している単位を見つけるという学習は手軽で、取り組みやすい活動であると言えます。
これからのNIE
今回は算数での実践でしたが、他の教科でも同じように新聞を活用して授業づくりを行っていきたいと思います。また、今回のように新聞を活用するだけではなく、新聞を作る「製作学習」にも取り組みたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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