研究発表会に向けて
今年度、3学期に「国語力向上」をテーマに研究発表を行います。そこでは、NIE(教育に新聞を)を取り上げた国語授業を公開します。授業では、児童が新聞をもとに考えたことや調べたことなどを友達同士で伝え合う活動を行いたいと考えています。この授業を通して、新聞の有効性や学び合いの大切さを参観者の方にお伝えできればと思います。そこで、研究授業に向けて、年度当初より公開授業の取組を行っています。今回は「辞書引き学習」の授業公開についてレポートします。
辞書引き学習の導入
「辞書引き学習」は、中部大学教授である深谷圭助氏が提唱する学習法で、これまで、分からない言葉の意味を調べるためのみに使われていたのを逆転し、辞書から知っている言葉を見つける活動を行います。そして、見つけたしるしに、付箋に言葉を書いて貼り付けます。そうすることで、言葉と出会った数が目に見えて分かり、児童にとって大変興味をもてる活動になっています。
今回担当する学級でも、辞書引き学習をスタートさせることにしました。その理由は、
① 児童に学び方を身に付けさせるため
② 児童に豊かな語彙力を身に付けさせるため
の2点です。一つ目の「学び方」については、児童が、知らない言葉や意味を知りたい言葉に出会った時に、進んで言葉の意味を調べられるようにすることで、言葉だけではなく、様々な事象に興味関心をもてるようになるという効果を期待しています。1月の研究授業では、教科書教材や新聞から自分が調べたいことを決めて、進んで探究していく活動を行います。そこでは辞書引きで培った、知りたいことを調べようとする姿勢が大変重要だと考えています。この辞書引き学習で児童の「学び方」の基本を作っていきます。
また、豊かな語彙力も身につけさせていきたいと考えています。ここ数年、児童の指導をしていて、児童の語彙の不足を感じることが多くありました。作文やスピーチなどではありふれた言葉ばかりがあふれ、自分の考えをもっと効果的に伝えるための言葉や、自分の感動を適切に表す言葉をあまり持っていない現状がありました。そこで、辞書引き学習を通して、様々な言葉と触れ合うことで、使える語彙を増やしていきたいと考えています。
辞書引きスタート授業
クラスの児童と辞書引き学習の活動をスタートしました。児童は、分厚い国語辞典を前にどんな活動をするのかとワクワクしていました。
「さあ、ページをめくって知っている言葉をさがそう。そして、しるしに付箋をつけよう。」
という教師の投げかけと共に、一斉に辞書を開きました。初めは、どの言葉を付箋に書いたらよいか分からずに戸惑っていた児童もいましたが、
「僕、もう10枚はったよ!」
「この言葉も知っている!」
という友達の声を聞いて、どんどん付箋を貼れるようになりました。1時間の授業で、100枚近く貼った児童もいました。児童はその後、休み時間や帰宅後も辞書引きを行い、2日間で1000枚以上の付箋をつける子も出ました。これからどんどん継続していきたいと考えています。
授業公開を終えて
この授業は公開授業として行ったため、数名の教員が参観に来てくれました。研究発表会では多くの教員に参観していただく予定です。今回参観していただいた教員より感想をいただくことで、授業の改善にも生かしていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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