今年度も新聞活用
今年度、1月16日に勤務校で「国語力向上」をテーマに研究発表を行います。そこで私がNIE(教育に新聞を)を取り上げた国語科の公開授業を担当します。現在、さいたま市では全市立小中高等学校・特別支援学校でNIEを行っていることになっていますが、学校によって温度差があり、その実践が十分に行われているとは言いにくい状態です。そこで、本校でのNIEの取組をさいたま市内の各学校の先生方に公開し、少しでもNIEを広められたらと考えています。
そして、本校の先生方にもさらに新聞を活用した取組を積極的に行っていただくためにも、私自身の授業を公開し、一緒に新聞活用について考えていきたいとも考えました。そこで、私自身の授業の精度を上げる目的と、先生方にNIEを知ってもらう目的で公開授業を行っていくことにしました。
新聞スクラップスタート
第1回目の公開授業は国語科で新聞スクラップを取り入れた授業です。普段、新聞スクラップは、業前の時間などを活用して行い、授業時間内には行わないのですが、担当する3年生はスクラップの経験がないので、授業の中でオリエンテーションを行うことにしました。学校で使用している国語教科書に「発見ノートを作ろう」という単元があるので、その時間を活用しました。
授業では、児童に丸ごと1部の新聞を渡し、新聞の特徴について話し合うことからスタートしました。新聞を見て子どもたちは、
「先生、写真がいっぱいあるよ」
「記事の中に小さな文字だけでなく、大きな文字がたくさんある」
「先生、はじめのページに目次のようなところがあるよ」
「天気予報も持っているよ、どうしてかな」
「子どもが読むためのページがあったよ」
など、思い思いに気が付いたことを話し合っていました。この活動を通して、子どもたちは新聞が大人だけのものではなく、自分たちも楽しめるものであると実感したようです。
次に、私の例に従って、写真がついている気に入った記事を切り取りました。児童はまだあまり新聞を読んだことがないため、写真を中心に記事を選ぶことで活動しやすいのではないかと考えました。児童は、たくさんある新聞写真の中からお気に入りのものを選び、切り取ることができました。
お気に入りの写真記事を切り抜いた後はその記事をノートに貼り、ワークシートに取り組みました。ワークシートでは、以下の内容を書き込んでいきました。
① 記事を選んだ理由
② 記事を読んだ感想やはじめて知ったこと
③ 記事を読んでさらに調べてみたいと思ったこと
以上のことを書いておくことで、関連する記事があるとその記事に興味がわき、さらに自分で調べてみたい気持ちを高めることができると考えています。
最後に、友達同士でスクラップをした記事を紹介し合いました。友達がどんな記事を選んだのか、児童は興味津々で友達の発表を聞いていました。
児童との課題を明確化
今回の公開授業①を通して、児童の課題もいくつか発見することができました。例えば、
・児童の活動の速さに大きな差があり、その点をどうするかを考える必要がある。
・発表に慣れていない児童がいるので、発表する活動を他の授業で多く盛り込んでいく必要がある。
・特別に支援が必要な児童がどうしても活動中に離席してしまう。離席する機会を作ったり、授業をリズム良く行ったりするなどの工夫をしたい。
・スクラップ活動の際にどうしても騒がしくなってしまう。(3年生なので、まだ仕方のない面があるが)
などです。それらの課題を一つひとつ検証して次の公開授業に備えたいと考えています。
次回は、3年生の辞書を活用した授業を公開する予定です。「辞書引き学習」をスタートするオリエンテーション的な授業です。児童の興味関心を高める工夫をたくさん行っていきたいと考えています。

菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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