学校全体でのNIEへ
2016年度、勤務校では日本新聞協会からNIE実践校の指定を受けて実践に取り組んできました。勤務校のあるさいたま市では、市の教育委員会と県のNIE推進協議会が協定を結んでおり、市立全小中高等学校、特別支援学校でNIEが行われるようになりました。しかしながら、実践には温度差があり、私の見たところ、ほとんどの学校で、教科書に出てくる単元でのみ新聞を活用し、日常的に新聞を取り入れた実践をしている例は少ないように思います。
先日、公表された新しい指導要領では「総則」に新聞の活用が記載されました。それだけ、新聞に期待されることが大きいということだと思います。教科書の内容だけではカバーできない新しい内容が新聞にはあります。また、新聞を読むことで考える力も付きます。
そこで、本校がモデルとなり、市内の学校へ新聞の活用についての提案ができればと考えています。本校が、学校全体でNIEに取り組むモデルを示すことで、さいたま市、そして埼玉県の学校に新聞活用がさらに広まるのではないかと考えています。
2016年度のNIEの成果
2016年度は、本校の教員が新聞を使った実践を少しずつ行い、新聞を使う感覚を身に付けてもらうことをねらいとして活動を行ってきました。主な取り組みとして行ってきたことは以下の通りです。
1 新聞スクラップの実施
2週間に1回程度、新聞を読む時間を設けました。新聞スクラップに取り組む学級も増えました。
2 新聞コーナーの設置
(1) 学年掲示板の活用
学年の掲示板に授業に関連のある新聞記事を掲示し、児童が不安から新聞に親しめるようにしました。
(2)提供される新聞の整理
実践校として提供される新聞を整理し、児童が閲覧しやすくなるようにしました。
(3)教員の新聞紹介コーナー
教員が児童に新聞記事を紹介するコーナーを作りました。
3 新聞コンクールへの参加
日本新聞協会が主催するコンクールに学校として参加しました。
4 新聞ライブラリーの設置
教員が授業で新聞を活用しやすくなるように、新聞素材をデジタル化し、共有できるようにしました。
5 新聞を活用した授業の実践
各学年で学期に1回程度、新聞を活用した単元を作り、全職員で取り組めるようにしました。
これらの取組により、少しずつですが、各学年での取り組みが広がってきました。保護者の評判もよく、学校で授業が行われているので、新聞を購読し始める家庭も増えました。
2017年度に向けて
2016年度、多くの取組により、少しずつですが新聞活用が広がってきました。2017年度はさらに、NIEのねらいをはっきりさせ、児童にどんな力をつけるのかを意識した取組にしていきたいと考えています。
菊池 健一(きくち けんいち)
さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。
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