2017.03.26
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「ノートは自分のために書く!」(太田あやさんの授業)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

ノートは何のために書くの?

「ノートがうまく書けない」

「ノートが汚くて読めない」

など、子どもたちはノートに関する悩みを多く抱えています。現在は学校ごとにノートの取り方をスタンダードとして示し、子どもたちがノートを書きやすくなる工夫をしているところも多くあります。私の学校でも、例えば、算数では「問題を書いて黒で囲む」「課題は青で、まとめは赤で囲む」などのルールがあります。また、自分の考えを自、友達の考えを友と記号化して、分かりやすくまとめられるようにもしています。

 子どもたちは学校で設定したノートの書き方をもとに授業中にきちんとノートを書いていますが、一つ大きな疑問をもっていました。それは・・・

『そもそも、ノートは何のために書くの?』

ということです。私自身、教師として、授業で習ったことを忘れないため、計算などの練習をするため、などと説明をしてきましたが、どうも子どもたちは納得していない様子・・・そこで、私もノート指導について学んでいる、ベストセラー『東大合格生のノートはいつも美しい』の著者である、太田あやさんをゲストティーチャーにお招きし、ノートの取り方を指導していただくことにしました。

太田さんをゲストティーチャーに!

 太田さんは現在、フリーのライターとして東大生ノートの取材や教育で成果を上げている県の取材などをされています。また、子どもたちの整理整頓に関する取材もされていて、私のクラスの取材もしてくださいました。今回は取材に来ていただく機会に、子どもたちへのノートに関する授業をしていただきました。

 太田さんは東大合格生のノートを紹介する著書の中で、ノートの取り方に関する6つのコツを提唱されています。その中から3つを選んで子どもたちに詳しく説明をしてくださいました。また、ノートはどうして大切なのかという根本的な話もしてくださいました。事前に子どもたちに、太田さんの著書を紹介していたこともあり、子どもたちは大変楽しみにしていました。

どうしてノートは大切なのか?

 授業ではまず、「どうしてノートは大切か」というお話をしていただきました。その理由として、以下の3点を説明してくださいました。

① ノートは2つ目の脳だから

② テストで実力を発揮するため

③ 目標を決め、自ら勉強する力をつけるため

 「ノートは2つ目の脳」という言葉に子どもたちは大変関心をもちました。いろんな知識がバラバラだと定着しない。知識がバラバラのパズルのようになっているからです。そこで、ノートに書いて見える化することで、知識が整理できるようになるということでした。そして、そのように整理した知識をもとに学習をするとテストでも力が発揮できます。さらに、自分がどういうノートを書けば力がつくかをイメージすることで、「人生をデザインする力」にもつながるという話をしてくださいました。

 太田さんの話から、ノートが単に授業中に黒板を写すだけのものではなく、自分の人生を作り上げるためにも有効なツールであるということを聞いて、子どもたちも私も目から鱗でした。「たくさんの東大生を取材して、東大生はノートを楽しんで書いていたということが分かった」という太田さんの言葉が印象的でした。

 ノートをとるコツは?

 次に、ノートをとるコツを具体的に説明してくださいました。太田さんが提唱する6つのコツのうち、子どもたちに説明してくださったのは次の3つです。

① ノートは自分のために書くこと

② ノートには心が動いたことを書くこと

③ 色は3色を使うこと

 これまで、子どもたちはノートを書く活動は、どちらかといえば受け身で行っている活動でした。主に黒板に板書されたことを写すだけ・・・という子もいました。また、黒板の文字を書くことが授業を受けることであると思っている子もいたようです。(私も学生時代はそうでした。)しかし、ノートは自分のために書くものだから、ていねいに、そしてお手紙を書く気持ちで書くようにするという太田さんの話を聞いて、子どもたちはとても驚いていました。

 また、ノートには驚いたことや考えたことなど、授業を受けていて心に浮かんだこともメモすることが大切だと教えていただきました。そのためにノートを分割するとよいことも教えていただきました。

 太田さんのお話を聞いて、子どもたちは「自分のためになるノートを作ろう」という気持ちが高まってきたようです。太田さんはお話の間に、子どもたちのノートを見てくださり、「よく書けています」とほめてくださいました。子どもたちも自信になったようです。

 太田さんの授業を生かして

 太田さんの授業を受けて、子どもたちのノートが変わってきました。これまでは私の板書だけ書いていたノートに、子どもたちのオリジナリティーが表れてきました。

・私が説明で書いた図をきちんと書いている子

・私が例で出した話をメモしている子

・授業中に疑問に思ったことを書いている子

などなど、私もこれまで以上に子どもたちのノートを見るのが楽しくなってきました。これからも、子どもたちとよりよいノートを作っていきます。

『ノートは自分のために書く!』

太田さんから教わったことをこれからも生かしていきたいと思います。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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