2016.11.05
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「作家と新聞でつながる」

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

音楽会への出場が決定

さいたま市では毎年小学校と中学校の代表学級が歌や合奏を発表し合う「小中合同音楽会」があります。児童生徒にとって、大きなホールで歌うという素晴らしい経験になる行事です。今年度はわが菊池学級が学校の代表として音楽会に出場することになりました。

音楽会で披露する曲は「ゆうき」です。この歌はNHKのコンクールの課題曲にもなったもので、作詞は「ぐりとぐら」などの本で有名な、作家の中川李枝子さんです。子どもたちにとっては、教科書で学習した「くじらぐも」というお話や、「さんぽ」という曲でもおなじみです。

今回取り組む「ゆうき」という歌は、子どもたちに自分の力でしっかりと進んでいくこと、そして、広い心をもつこと、深く考えることなど、中川さんから子どもたちへのメッセージが詰まっています。子どもたちには、この中川さんの思いをしっかりと受け止めて、歌の練習に取り組んでもらいたいと考えました。

作詞をした中川さんを知りたい

子どもたちは、中川さんが作詞をした「ゆうき」という歌を練習し始めてから、中川さんについて詳しく知りたいと思うようになりました。そんな時に小学生新聞に中川さんを取り上げた記事が掲載されたので子どもたちに読ませました。

「1年生の時にたくさん歌った『さんぽ』という歌も中川さんが作ったんだね」

「1年生のとき教科書で学習した『くじらぐも』は中川さんが作った物語だったんだ」

「『ぐりとぐら』の絵本シリーズはうちにあるよ!」

など、子どもたちが触れたことのある歌や物語の作品には中川さんのものがあることに気が付き驚いていました。そして、新聞記事から、中川さんが「子どもたちに学校が大好きになってもらいたい」「子どもたちに本を好きになってもらいたい」などの願いを込めて作品を作っていることも知りました。子どもたちは音楽会で発表をする「ゆうき」には中川さんのどんな思いがこもっているのか考え始めました。

新聞がつなぐ

中川さんのことを詳しく知った子どもたちは、自分たちががんばって「ゆうき」の歌を練習していることを知らせたくなりました。そんな子どもたちを見て、担任の私は中川さんにファンレターを送ることを提案しました。自分たちの気持ちを中川さんにお伝えすることで、子どもたちの歌への気持ちがもっともっと高まるのではないかと考えました。子どもたちは心を込めて中川さんに手紙を書きました。

「中川先生の願いを考えながらこの歌を練習しています。」

「音楽会で最高の歌声を聴かせたいです。」

「みんなに感動してもらえるような歌声で歌えるようにがんばりたいと思います。」

など、思い思いのメッセージを書いていました。

子どもたちが書いたお手紙は、中川先生の記事を取り上げた記者さんにお届けしてもらうことにしました。事前に記者さんが中川さんに連絡をしてくださったところ、中川さんから「この歌を歌ってくれているのね。手紙も楽しみにしています。」とのメッセージをいただくことができました。

 

学びを歌に生かして

 今回取り組んでいる中川さんが作詞した「ゆうき」には、中川さんの子どもたちに対するたくさんの思いが詰まっていると感じています。中川さんにメッセージをお届けし、子どもたちはきっとこれまで以上に気持ちを込めて歌の練習に取り組んでいくと思います。合同音楽会本番で、どんな歌声を聴かせてくれるか、今から楽しみです。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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