2022.06.09
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GIGAスクール時代のコンテンツやツールが続々登場! New Education Expo 2022 リポート vol.2

3日間で延べ6,000名の教育関係者が来場したNew Education Expo2022 東京。vol.2では展示ゾーン:UCHIDA SCIENCE、教育ソフトウェア&コンテンツ、ハードウェア&学校設備、アクティブ・ラーニング家具からウチダの注目の新製品を紹介する。

UCHIDA SCIENCE

顕微鏡コーナー

①デジタル顕微鏡 D-SF600

¥ 89,000(税別・簡易メカニカルステージなし)

様々な理科教材を展示した「UCHIDA SCIENCE」ブースで注目を集めていたのが、デジタル顕微鏡D-SF600だ。人気のデジタル顕微鏡シリーズに新たに加わった「GIGA対応機種」で、顕微鏡と1人1台端末をUSBで接続すると、顕微鏡で覗いた画像が端末に大きく映し出される。後述するUchida Science Webの顕微鏡アプリを使えば、画像の一部を拡大表示したり、画面上で長さを計測することも可能。画像を保存できるので、プレゼンやまとめ資料を作る時に便利だ。粗動と微動を同じ軸ハンドルで調整できるので、焦点合わせ等がしやすくなっているのもうれしい。

②Uchida Science Web

このデジタル顕微鏡アプリをはじめ、Meshやmicro:bitなどのプログラミング教材アプリ、IoT百葉箱用アプリなど、「理科で使うICT教材のアプリ」をまとめて提供しているのが、Uchida Science Webだ。端末へのインストール不要、ログインも不要で、上記サイトにアクセスすればすぐにアプリを利用できる。よく使う機能が厳選されており、メニューもアイコン等でわかりやすく表示されているので、小学校低学年でも使いやすい。今後もアプリは追加していく予定とのことだ。

③10枚セット組のプレパラート4種

¥5,200~¥5,800(税別)

現行の理科の教科書で、顕微鏡での観察が例示されている「植物・動物」を網羅したプレパラートセットが登場した。「植物のつくり(小・中)」「水中の小さな生き物」「花粉・胞子」の全4種で、たとえば「水中の小さな生き物」セットには、ミジンコ、アオミドロ、珪藻など、各セットに10枚のプレパラートが収録されている。中学生向けのセットでは、敢えてプレパラートに標本名を明記せず、自分で観察して答えを探す仕掛けも。収納ケースに記されたQRコードを読み込めば、答え合わせができる。この収納ケースはプレパラートを平置きする薄いブック型になっており、保管場所をとらず、目当ての標本をすぐ見つけられるのもうれしい。

④透明標本

¥36,000(税別)

息を呑むほど美しい「透明標本」も、新登場した。筋肉をそぎ落とさずに透明化し、硬骨を赤色、軟骨を青色で着色しており、カエル・魚・エビの骨格や筋肉の形が、手に取るようにわかる。この特殊な処理には、カエルで約1か月もかかるそうだ。標本ケース上部にはレンズが付いており、顕微鏡や虫眼鏡などを用意せずとも、すぐに観察できる。

実験器具、プログラミング教材

⑤杭打ち器

¥28,200(税別・スタンドセット)

現行の学習指導要領(中学3年生)では、位置エネルギーに関する実験例が、「斜面を下る物体の衝突実験」から「物体を鉛直方向に落下させる衝突実験」へと変更されたが、それに対応した実験器も登場した。従来の実験器はネジで摩擦を調整する必要があったが、この「杭打ち機」はマグネットを用いることで、摩擦調整が不要に。業界初の新機軸で、より理論値に近い実験結果を得られるようになった。50g、100g、150gの3種の重りが付属している。

⑥直流交流電源装置

¥39,800(税別)

新登場の「直流交流電源装置」は、直流と交流の違いや、交流の周波数による違いを、簡単に視覚化できるのが特長だ。スイッチ一つで直流と交流を切り替えることができ、交流になると光が点滅する様子を観察できる。また交流の周波数を1Hzから調整でき、周波数を上げていくと点滅スピードが速まっていく様子もとらえられる。しかもAC電源だけでなく乾電池でも動くため、場所を選ばすに実験できるのも強みだ。

⑦鉄製スタンドSK-GN2

¥28,100(税別・U型支柱・タブレットホルダー付)

様々な実験で用いるスタンドも、使いやすさにこだわった新製品が登場した。このSK-GN2はU字型のステンレス棒になっており、持ち運びが楽。支柱が2本あるため2つの実験を同時に行って比較もできる。またオプションのタブレットホルダーを付ければ、三脚として用いて実験の様子を撮影できる。

⑧LEGO(R) レゴエデュケーション SPIKE(TM)ベーシック

参考価格 ¥42,000(税別)

プログラミング教材の定番であるレゴでも、新製品がリリースされた。この「レゴ SPIKEベーシック」は、レゴブロック、色を識別するカラーセンサー、モーター、ライトなどから構成されており、クルマや家などを組み立て、付属のアプリでプログラミングする。特筆すべきは、アイコンブロックをつなげるだけでプログラミングできるアプリと、スクラッチのようなワードブロックでプログラミングするアプリの2種類を標準搭載している点だ。前者は小学校低学年向け、後者は中・高学年から中学生向けを想定している。

また、現役の教員が作成した授業指導案も、オプションで用意。この教材をどの単元でどう用いれば学びが深まるか、とても役立つ指導案となっている。

教育ソフトウェア&コンテンツ

ドリルタイム

短い時間で取り組めるクラウド配信ドリル

  • 問題(解答)画面

  • 解説画面

  • 結果画面

  • 教員用画面

GIGAスクール構想によって、全国の小中学校に1人1台端末と高速ネットワーク環境の整備が進んだ。そうしたハードを有効に活用するためのソフトの充実が課題となる中、注目したいのがクラウド配信ドリル「ドリルタイム」だ。本製品はウチダの学校向け学習eポータル「L-Gate」からシングルサインオンで利用が可能で、Windows、iPadOS、Chrome OSに搭載されているWebブラウザ上で動作する。

クラウド型のドリル教材は数あれど、本製品の大きな特徴は、短い時間で取り組めること。小学校版と中学校版、いずれも主要5教科の教科書で学ぶ基礎的な内容の問題を1回につき5〜10問で出題するという、朝学習の時間や授業時間などの短い時間内で、学んだ内容の定着を図るのに最適なつくりとなっている。端末の持ち帰りを行っている学校であれば、家庭学習での活用も考えられる。

ドリルは学習したことを自分の中に落とし込んでいく地道な作業であるため、長時間に及ぶと子どもの集中力は途切れがちだが、本製品であればそんな心配は無用。文部科学省が運営する、1人1台端末の活用事例などを紹介するWebサイト「StuDX Style」に、デジタルドリルの活用事例として、授業の終末の5分~10分の短時間に学習者が個別に練習問題に取り組む事例が掲載されていることからも、その有効性がうかがえる。

ドリルに取り組んだ時間や解いた問題の数、正答率といった学習記録の確認も可能だ。先生はクラス全体や子ども1人ひとりの学習の進捗状況を把握して指導に活かし、子どもたちは自分の学習結果をもとに、さらなる学習の励みにしたりすることができる。なお、 どれだけ子どもたちが主体的に取り組み、学んだことを定着できたかを大事にするため、本製品ではあえて点数は表示していない。子どもの学力に合った問題をAIが判断して出題する機能をもたせていないのも、子ども自身が得意・苦手を認識し、主体的に学ぶ姿勢を身につけることを重んじているためだという。

もう1つ、学年単位で導入しやすい価格も特筆すべき点だろう。AIや手書き入力機能を搭載していない分、小学校版・中学校版ともに1人あたり年間450円と安価で、かつ学年をまたいで学習することができるのは大きなメリットだ。 

今後は、先生が自分で問題を作れる機能の実装が決定しているほか、子どもたちのつまずいた問題を把握できる機能の実装も検討中。こうして進化を続ける柔軟性も、長い付き合いにふさわしいコンテンツと言えそうだ。

ハードウェア&学校設備

マルチプレゼンテーション制御ボックス

複数のプロジェクターを手元で一元管理できるシステム

GIGAスクール構想で整備の進んだ校内ネットワークと、この数年間で普及率が上がった大型表示装置をどう利活用していくかというのも、これからの学校の課題の1つ。「マルチプレゼンテーション制御BOX」は、そんな課題の解消に役立つシステムだ。

本機は、手元のスマートフォンやタブレット、PCからプロジェクターや大型モニターを最大5台まで一元的に操作することが可能。表示装置の電源の一括、個別ON/OFF、入力切替、音量調整などを、授業の流れを止めることなくスムーズに行うことができる。

複数台のプロジェクターが導入されている環境では、リモコンで操作していない機器まで反応してしまうことがあるが、本機はWebブラウザから操作するため、そうしたリモコン操作の干渉や、それに伴う操作のやり直しなどの煩わしさがない。アプリのインストールなども必要なく、OS を選ばずに使うことができる。子どもたちがグループごとにモニターを使ってワークをするような場面でも、大いに活躍してくれることだろう。

サーバが不要で、設置や管理に手間がかからない点も魅力だ。本機を校内有線LANに接続し、設定画面から同じネットワークに接続したPJLink(表示装置をメーカーを問わず操作・管理するための統一規格)対応の表示装置を登録するだけで設置は完了。すでに、パソコン教室のリニューアルを機に順次導入を進めている学校もあるそうだ。

アクティブ・ラーニング家具

meyes(メイズ)

アクティブラーニングを活性化する上下昇降テーブル

¥103,000(税別・イチョウ天板・天板角度調節あり)

最後にご紹介する「meyes(メイズ)」は、立っても座っても使える上下昇降テーブル。使う人の体格や用途に合わせて、天板の高さや角度を調節できる。天板右下のレバーを握ると高さの変更が、中央のレバーを引くと傾斜の調節が可能となる。

天板が長方形のスタンダードタイプとイチョウ型天板タイプの2種類があり、スタンダードタイプは、教材が多くなりがちなアナログとデジタルの共存したワークにも対応できるよう、天板の大きなものも用意されている。オプションとして、目隠しのための幕板やチルト天板用滑り止めバーなどがあり、より使いやすくカスタマイズすることも可能だ。

本製品の特徴が最大限に発揮されるのは、グループワークの場面。立ち姿勢であればグループ間の移動がスムーズになり、交流も促される。特にイチョウ型天板タイプは、グループで机を寄せる際、円形にレイアウトしやすいという利点もある。大学のコンピュータールームや多目的ルーム、小中学校の特別教室などに導入すれば、 アクティブ・ラーニングの活性化に一役買ってくれるはずだ。

記者の目

小・中・高で教科書が新しくなり、教科書が例示する理科の実験が変わった。また1人1台が整備されたことで、実験の様子や観察対象を端末で撮影・記録し、その結果をみんなで共有しながら議論するなど、子どもたち一人一人がより深く、実験や観察を行うようになってきている。新教科書に対応した市販の理科教材を用いれば、実験や観察をスムーズに行って正確な結果が得られ、子どもたちの学びが深まりやすくなるだろう。(UCHISA SCIENCE取材担当)
GIGAスクール構想は、充実したICT環境を活用して子ども1人ひとりに最適な学びを提供するとともに、先生方の業務負担を軽減できてこそ価値がある。今回、ご紹介した新製品は、どれもその実現を後押しするものばかり。今後は、こうしたツールを積極的に活用し、より質の高い指導や学びにつなげていくことが求められるだろう。(その他のブース取材担当)

参考資料

取材・文・写真:学びの場.com編集部

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