体験学習や学校行事をどう位置付けるか
学校には、あらかじめ決まっていることが多くあります。
子どもたちは、あらかじめ決まっていることとどう出合っているのでしょうか?
そこに思いを巡らせてみませんか。
福島市立福島第一小学校 教諭 横山 淳平
はじめから決まっている学校行事だからこそ、見失いがちなこと
体験学習や行事は、年度初めにあらかじめ決まっていることが多いですよね。
運動会、宿泊学習、修学旅行、森林環境学習、校外学習……。多くの企画が4月の段階でスケジュール帳に刻まれています。
はじめから決まっていることで、私たち教師は見通しをもって準備することができます。その行事に向かって学級の雰囲気が盛り上がっていくことも、学級経営の大きな手がかりになります。
でも、はじめから決まっているからこそ、失っていることもあるのではないかと感じています。
それは何か。
そもそも、ターゲットのニーズを把握してからでないと、企画は立ち上がらないはずだからです。
ここでいうターゲットとは目の前の子どもたち、ニーズとは子どもたちが今まさに欲しているもの、ということです。
この子たちは今、何を求めているのか。何に困っているのか。何にワクワクしているのか。ここをつかんでいるからこそ、「教室の中だけでは成立しない」と判断できる。そこで初めて、教室を飛び出して学ぶという必要感が生まれ、企画が成立すると思うのです。
でも学校では、それよりも先に行事が決まっていることが多い。
だからこそ、私たち教師がこの意識を熱をもってもち続けること、子どもたちに接していくこと、日常の中で仕掛けていくことが大切だと思うのです。
あらかじめ決まった行事を、子どもたちの今のニーズと丁寧につなげていく——そこに教師の専門性が宿るのではないかと考えています。
非日常の学びは、非日常の空間でしか生まれない
もう一つ、書かせてください。
先日、宿泊学習に行ってきました。
海に入り、生き物を見つけたときのあのキラキラした目。
山を2時間近く歩き、疲れた友達に声をかけながらゴールを目指すあの必死な姿。
親元を離れて、ドキドキしながら友達と部屋で過ごすあの時間。
やはり、非日常の学びは非日常の空間でしか生まれないのだと、改めて実感しました。
教室の中でどれほど丁寧な授業を重ねても、あの瞬間には届かない。子どもたちの目が輝くあの場面は、まさにその空間と文脈と人間関係が重なったときにしか生まれないものだと思います。
教師としての「嗅覚」を磨く
現在、働き方改革の一環として、さまざまな行事や活動が見直されている時期です。精選することは大切なことです。でも、だからこそ問われることがあります。
どの学びには価値があって、子どもたちから奪ってはならないのか。
これは、数値では測れない問いです。でも、現場に立ち続ける教師だからこそ持てる嗅覚がある。削ってよいものと、削ってはならないもの。その違いを見極める目を、プロとして磨き続けていきたいと思っています。
今回は、はじめから決まっている行事・体験活動にどう向かっていくのかということと、非日常の経験の意義についてざっくばらんに書いてみました。
皆さんも、一つ一つのイベントをただこなすのではなく、「この経験が、今この子たちに何をもたらすのか」を問いながら、目の前の子どもたちと一緒に歩んでみてください。
きっとそこに、小さくて大切な「気づき」が見えてくるはずです。

横山 淳平(よこやま じゅんぺい)
福島市立福島第一小学校 教諭
早稲田大学大学院教育学研究科修了 修士(教育学)、日本金融教育支援機構教員アンバサダー、東北社会科を面白がる会・ふくしま社会教育士の会事務局、その他FPやICT関係の資格保有。
「子どもがいるから学校がある」をモットーに、教師としてできることを考えています。
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