「オランダいいなあ」で終わらせないために。関係に余白をつくる(2)
オランダの教育や暮らしに触れて「いいなあ」と思ったことを、そのままで終わらせないために。
個人で変えられることを言葉にしてみた中から、今回は「関係に余白をつくる」実践を紹介します。
子どもや家族との関わり方を少し変えるだけで、関係の空気はやわらかくなっていきます。
合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員 川崎 知子
関係に余白をつくる。
前回は、「自分に余白をつくる」ことについて書きました。
自分に少し余裕が生まれると、不思議と周りの人との関わり方も変わってきます。
私は、オランダで3つの家庭にホームステイをしました。家族の形はさまざまですが、共通していたのは、夫婦関係にも親子関係にも、たっぷりとした余白があることでした。
常にリラックスした関わりがあるからこそ、それぞれが仕事や学校を無理なく頑張れているのではないか、と感じました。
「きちんと子育てしなきゃ」と思えば思うほど、親子関係は少しずつ窮屈になっていきます。
だからこそ、関係に余白をつくることが大切です。
ここで紹介するのは、どれも特別なことではありません。 ただ、関わり方を少し変えることで、関係の空気がやわらかくなるような工夫です。
家族でボードゲームをする
オランダでは、平日の夜や休日に家族で過ごす時間を大切にしており、家族で楽しめるボードゲームが豊富です。
私もホームステイ中にたくさんのゲームを教えてもらい、その後、夫や息子たちと楽しんできました。
ボードゲームは頭の体操になりますし、自然とコミュニケーションが生まれます。
勝ち負けがあることで、負けても受け止める経験にもつながります。
大人も子ども対等に楽しむことが大切です。
家族でかくれんぼをする
家の中で少し身体を動かして遊ぶなら、かくれんぼが最適です。
子どもの方が身体が小さい分有利ですし、大人も隠れている間は少し休憩ができます。
単純な遊びですが、だからこそ一緒に笑ったり驚いたりする時間が生まれ、関係がやわらかくなります。
子どもと一緒に料理をする
お手伝いをさせるというよりも、一緒に楽しむ感覚で料理をしています。
レシピを見ながら作ることで、重さやかさの感覚にも触れますし、買い物に行けば物の値段も自然と分かるようになります。
我が家では週に1回、子どもが献立を考えて1500円以内で買い物をし、残ったお金はもらえるという仕組みを取り入れています。
家にある食材も確認しながら工夫し、夫や私をアシスタントにしつつ、料理を楽しんでいます。
買ってあげるお菓子の上限を決める
一緒に買い物に行った時のために、お菓子の上限を決めておくと、数字にも強くなりますし、余計なやりとりが減ります。
以前は「数字が2つまで(99円まで)」と決めていましたが、最近は物価も上がり、少し工夫が必要になってきました。
それでも、「どこまでにするか」を一緒に考えることで、やりとりの中に余白が生まれます。
小さい頃は朝着替えない
これは、日本の保育園に通わせていた頃に気づいた方法です。
外遊びの後やお昼寝前に必ず着替えるのであれば、朝は着替えなくてもよいのではないかと思ったのです。
この方法で朝の時間を5〜10分短縮できますし、気持ちにも余裕が生まれます。子どもにとっても大人にとっても、少し楽になる工夫です。
おこづかいは25円単位にする
算数の感覚として、25が2つで50、50が2つで100という関係を自然に身につけてほしいと思い、おこづかいは25円単位にしてきました。
細かく決めすぎるのではなく、少し考える余地を残すことで、子ども自身が工夫する余白も生まれます。
余白が関係を変える
こうして見てみると、関係に余白をつくるとは、何か特別なことをするというよりも、関わり方の力を少し抜くことなのかもしれません。
やらせるのではなく、一緒にやること。
決めすぎるのではなく、少し任せてみること。
その小さな違いが、関係の空気を少しずつ変えていきます。
完璧を目指すのではなく、まずは一つ、できそうなことから始めてみてください。
ほんの少しの余白が、関係をやわらかくしてくれます。
次回は、「学びをゆだねる」について書いていきたいと思います。

川崎 知子(かわさき ともこ)
合同会社Toyful Works 代表社員・元公立小学校教員
元公立小学校教員。東京・広島の小学校で約20年勤務。
2017年からは家族とともにオランダに渡り、イエナプラン教育を学ぶ。日蘭イエナプラン専門教員資格を取得し、現地のイエナプランスクールでアシスタントとして2年間勤務。20校以上の小中学校を視察した。
帰国後は、広島県福山市立のイエナプランスクール開校に携わり、現在は日本イエナプラン教育協会理事。
不登校支援や特別支援教育、保護者との関係づくり、対話・探究・遊びを通して、子どもも大人も、安心できる学びの場づくりに取り組んでいる。
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