2026.01.21
  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

より良い学級づくりを目指して 〜授業には担任だけが知る「裏テーマ」がある〜

授業には表面的に見える表テーマがあります。
いわゆる学習の目的です。
しかし、担任にしか分からない隠れた「裏テーマ」を意図的に設定すると、より良い学級づくりを目指すことができます。

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭 石川 雄介

授業には表テーマと裏テーマがある

みなさんは授業を行うときに、どのようなことを考えながら授業づくりをしていますか?

どうしたらわかりやすいか。
どのような導入にしたら子どもたちの興味が湧くか。
どこでペア学習、またはグループ活動を取り入れようか。

多くの教師が、このようなことを考えていると思います。この考え方に別方向の考え方を取り入れることで、より良い学級づくりに向かうことができます。それは、授業内に担任として「表テーマ」と「裏テーマ」を設定することです。
これらを説明するために、次の場面を例として紹介します。以下は、授業中の様子を児童の視点から描写したものです。
​​​​​​​
-----------------------------
(算数の授業が始まる一場面)
チャイムが鳴ると先生が話し始めた。
「問題文を提示するので、グループで話し合って問題の内容を確認してください」
私たちは先生の話を聞くと、各自問題文を読み、グループで場面の設定や状況、何を求めたいのかを確認し合った。やはり、最初に話し始めたのは算数が得意なAさんだった。
「この問題って昨日習った考え方でできるんじゃない?」
「えっ、昨日習ったことって何だっけ?」
私は慌てて昨日のページをめくる。それに合わせてこっそりとBさんもページをめくる。Aさんは気にせず話を進める。
「Cさんはどう思った?」
Cさんは小さな声で
「いや、えっと・・・」
と自信なさそうに答える。
その姿を見てAさんは
「多分だけどさ、この問題って~~」
と言葉を続けた。その言葉を聞いて私とBさんもうなづいた。
2分ほどたった後、先生がグループの様子を見ながら話した。
「それでは、問題文の中で解答に必要だと思う文をノートに書いて、グループで共有してください。そして、自分達で今日の学習のめあてを立ててみてください」
私たちは先生の話を聞き終えると、文章をノートに書いて、グループで話し合いながらめあてを立てていった。
-----------------------------

表テーマと裏テーマとは

この授業場面を例に「表テーマ」と「裏テーマ」について説明していきます。
表テーマとは、授業の学習内容に関係するテーマのことです。上記の場面では、グループ活動にあたります。友達同士で意見を言って問題を把握し、理解する、互いに支え合うための活動です。
一方、裏テーマとは、表面的に見える活動に隠された担任としての狙いのことです。私はこのグループ活動を通して、「グループの仲間を大切にする」「自分のことだけではなく、周りの人のことにも意識を向ける」という学級づくりの狙いとしても位置付けています。
現在、担任1人で一つの学級を受け持つのではなく、学年の担任が複数で子どもたちを教育したり、担任の授業の一部を別の教師が受け持ったりするなど、これまでになかったさまざまな取り組み方が導入されています。
私の受け持つ6年生でも一部教科担任制が導入され、主要教科を担任同士で分担し、専科として他学級を回りながら授業をしています。私は算数科を担当しており、これまで受け持っていた国語・社会・外国語の授業は1年間行っていません。
その結果、自分の学級で授業をする教科は、「算数・体育・図工・家庭科・道徳・総合・特別活動」に限られています。主要教科の時間を分担することで、1週間の中で自分の学級で過ごす時間が約3分の1になりました。1日に1時間しか自分の学級にいない日もあります。
よって、自分の学級を経営する時間が極端に減少しています。限られた時間の中でより良い学級づくりを行うためには、授業を通して担任の思いや教育観を伝えなければなりません。そのため、授業の内容を理解させるための表テーマはもちろん大切ですが、学級づくりを目的とした裏テーマも非常に重要だと思います。

私が大切にしている裏テーマ「合い」

私の学級づくりの目標は「合い」です。もちろん授業の裏テーマも「合い」となります。ここでいう「合い」とは、行動を合わせることではなく、相手の気持ちに寄り添ったり、感じ取ったりするなど、気持ちや空気感を合わせることを意味しています。
この視点で先ほどの授業場面を見てみます。
「グループで内容を確認し合う」という活動は、問題の内容が分からないけれど、自分から言えない子に寄り添うための活動です。もちろん、自分から言えたほうが良いです。しかし、自分の意思表示を苦手としている子がいることを理解して、グループで支え合ってほしいのです。また、自分だけでなく他人の様子や気持ちを汲み取って、話しかける力を身につけるための活動でもあります。
「グループで共有し合う」という活動は、自分の考えを他者に認めてもらったり、相手の考えを認めたりなど、互いを肯定し合うための活動としています。また、何も考えられなかった子も、自然に他者の考えを受け取ることができます。
自分の意見を言うのが苦手だったり、控えめだったりする子を大切にすることで、学級づくりがより良くなると考えています。

授業の中に「裏テーマ」を仕込むという視点

このように、授業内に目指す学級像を意識した裏テーマを取り入れることで、より良い学級づくりを目指すことができます。
今回はグループ活動を軸として紹介しましたが、他にもペア学習や図工作品の鑑賞の仕方などの学習面、プリントの配り方や欠席児童の当番活動の補充、給食のおかわりの仕方などの生活面でも裏テーマを意識した活動ができます。
どの活動も担任としての意図をもって裏テーマを設定すれば、より強い活動として生まれ変わります。表面では見えない、けれど担任だけは隠し持っている裏テーマのある活動をやってみませんか?


何卒

石川 雄介(いしかわ ゆうすけ)

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭


沖縄県の小学校教員として10年以上、子どもも担任も楽しむ学級づくりや授業づくりを研究しています。
私のモットーは「合いのある学級づくり」で、特に『思い合い、支え合い、学び合い』に重きを置いています。
また、授業や生活の中で他者尊重の心を育む仕掛けや子どもの興味を惹くアイディアを考えるのが大好きです。
効果的な掲示物の作成や子どもも担任も楽しめるアイディアなど、多種多様な教育場面について伝えていきたいと思います。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

「教育エッセイ」の最新記事

pagetop