2022.11.01
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

『つなぐ・つながる』~授業づくり・学級づくり、そして学校づくりの、明日のために「集会活動をつなぐ」~ 

児童会活動の一つに児童集会活動が位置付けられています。全校の子どもが集い、主体的に参加し、楽しくふれあう活動です。皆さんの学校では、どんな活動が行われているでしょうか?
私は、子どもの自主性を重んじながらも、教育活動の一つとして、楽しみながらも学びを創っていけるといいなと思います。学校ならではの特色を生かし、教育活動を「つなぐ」集会活動を紹介したいと思います。

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授  前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 川島 隆

理科の授業につながるもの、ひまわり集会

全校の子どもが集う運動場。6月下旬。梅雨時ですが、好天に恵まれ、気持ちよいほどの青空が広がっている午後でした。
「花いっぱい委員会」の6年生が、問い掛けます。

「ひまわりは、今、どこまで大きくなっているでしょうか?」
すると、「ひまわりって、どこにある?」と、子どものつぶやきが聞かれました。
「先生、どこにある?」と、私はAさんに問われました。
普段生活をしている、見慣れた光景の中から、どこでひまわりが育っているか、意外と知らない子どもは多いようです。

しかし、この問いによって、学校のどこに「『ヒマワリ』が育っているのか」を起点にしながら、「自分たちの学校のどこに、何が、育っているか」という方向へと興味・関心を広げる働きがあるのではないかと考えまし
そして、「保健室前」、「バックネット裏」という場所が告げられることで、これまでに見ていない子どもたちは、「行って見てみたい」という気持ちが高まっているようでした。

授業のような仕掛けにビックリ

続けて、4つの選択肢が発表されます。
①5cm ②50cm ③1m50cm ④2m
高さを具体的に示しながら、「予想」させました。
この「予想」の場面。授業でも大切ですね。

そこでは、自分で予想しながらも、グループで自然に考え合うような場面になりました。
そして、それを紹介し合いながら、全体として、みんながどんな考えをもっているかを確かめる仕組みになっていました。
個だけでなく、周囲の友達がどんな考えをもっているか認識することは大切です。

また、長さについては、選択肢が設けられていると同時に、それを全校の皆が見えるくらいの大きな絵で示してくれていました。
(私もよく算数の授業で使うときがあるんですが、)長さを示しても、それが一体目の前のどれくらいを指し示すのかがイメージできない子どもたちもいます。
つまり、「2mってどれくらいだろう?」って、はっきり頭の中に描けない子ども、実感としてつかむことができない子どももいるんですね。
今回のように、絵で示し、しかも写真のように学校でも180cmを超える長身の先生がモデルとなって並んで立ってくれたことによって、子どもたちは、より具体的に2mという長さ(高さ)を、対象のイメージを、実感をもち、はっきりとつかむことができたように思うのです。

ここまで集会に参加してみて、
・興味関心を高める「問い」
・予想する場を創る
・具体的な数字で示す
・子ども同士が交流する
・協働的に解決する場を設ける
・視覚的にとらえられるようにする
といった授業の要素が、仕掛けがちりばめられていることに驚きました。
もちろん「花いっぱい委員会」の担当の先生がサポートしてくださっているのでしょうけど、子どもの主体の活動が、このように展開されていくことに驚きました。

答えは自分で見つけ出すもの……

さらに、「正解は、……ここでは発表しません」と司会の子どもが続けます。
「なんで!教えてよ」と、声をあげる3年生のBさん。
答えは、教えてもらうもの、すぐ分かるものって考えていたのでしょうか。
「自分で答えを見つける方が楽しいでしょ」と、私が声を掛けると「そうかあ」と、納得したようでした。

答えが分かったところで、学びは終わってしまいます。特に、与えられた答えは、そこから深めていこうという気持ちにつながっていかないように思います。
答えを自分で創っていく、見いだしていく、そういう仕組みが大事じゃないかと思います。

答えが出るのは、この後2ヶ月以上の「時」がかかる

3つめの問題は、「ヒマワリの種がいくつできるか」という問題でした。
グループ毎に予想をしていきます。
これこそすぐに答えが出るものではありません。
答えが出るまでには、この後、2ヶ月以上の「時」を必要とします。

これも、おもしろいなあって思いました。
時間をかけて一つのことを追究していくことになります。
それもこの学校の校内研究の中核としている理科や生活科を愉しむ態度には必要なことだろうと思います。
この後、花いっぱい委員会で、自分の目で確かめるような働き掛けをしてくれるといいなあって、勝手に期待をふくらませたのでした。

つながる「集会活動」

「花いっぱい委員会」と「N小本部」(企画委員会)」の企画・運営による、この「ひまわり集会」は、特別活動の「児童会活動」の一環として、価値ある活動です。
が、同時に、教科「理科」「生活科」に「つながる」という意味で、教科の学びを広げる・深めるという意味で、意義深いものを感じました。
カリキュラム・マネジメントは、今回の学習指導要領のkey Wordの一つになっています。
小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 総則編によれば、このカリキュラム・マネジメントについて、以下のように定義しています。

-------------------------------------
カリキュラム・マネジメントは,学校教育に関わる様々な取組を,教育課程を中心に据えながら組織的かつ計画的に実施し,教育活動の質の向上につなげていくことであり,中央教育審議会答申の整理を踏まえ、次の三つの側面から整理して示している。
・ 児童や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと,
・ 教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,
・ 教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと
などを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくことと定義している。」
-------------------------------------

教育課程に位置付けられた「教育活動」を、より価値の高いものにしていくために、換言すれば、より教育効果が期待できるものとするために、学校における様々な取組を、この観点から見直すことが、まずもって大切なことだと考えます。
すでにそんなことは、やっているという声も聞かれそうですが、意外と見いだせるものかも知れませんよ。 

川島 隆(かわしま たかし)

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師


2020年度まで静岡県内公立小学校に勤務し、2021年度から大学教員として、幼稚園教諭・保育士、小学校・特別支援学校教員を目指す学生の指導・支援にあたっています。幼小接続の在り方や成長実感を伴う教師の力量形成を中心に、教育現場に貢献できる研究と教育に微力ながら力を尽くしていきたいと考えております。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop