2025.02.03
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外国につながる児童の、授業中・校外学習での配慮や対応の紹介

読者の皆様の学校には、外国につながる児童生徒は在籍していますか。
私の勤める小学校は外国につながる児童が同じ県の他の地域と比べて多いのが特徴です。昨年度は私の学級に外国につながる児童が入ってきました。私の実際の経験を紹介することで、読者の先生方の指導や対応に生かせることもあるのではと思い、記事にすることにしました。

仙台市公立小学校 教諭 齋藤 祐佳

前回の記事に引き続き

昨年度担任した学級に、外国につながる児童が転校してきました。
さらに、一部の教科で教科担任制を取り入れていたため、外国語の授業をしていた学級にも、別の外国につながる児童が在籍していました。
昨年は初任だったこともあり、初めての経験がいくつかあり、「このようなことに配慮や対応が必要なのだな」と勉強になる日々でした。

前回の記事に引き続き、ここでは、私の経験や対応をいくつか紹介したいと思います。

授業中・校外学習での配慮や対応①

行事の扱いや紹介の仕方には慎重に

私は教科担任で高学年の外国語の授業を担当していました。
外国語の授業では、チャンツを歌うことがよくあります。
そのチャンツを流している時、急に、外国につながる児童が耳を塞いで机に突っ伏したのです。
私は驚いて、その理由を児童に尋ねると、チャンツ内で出てくる「クリスマス」に関する部分を聞かないようにしているとのことでした。

その単元は、各月の英語の言い方や、1年間の行事を取り扱ったものでした。
チャンツ内の12月の紹介として、クリスマスの内容があったのです。
その児童はイスラム教を信仰している児童でした。国際教室担当教員に尋ねると、耳にする分には問題はない、耳にするのも避けた方が良い等、各家庭により違いがあるようです。
それからは、チャンツ内で扱われる行事にも意識を向けるようになりました。

また、学校全体で、外国につながる児童がいる場合には、日本では宗教的行事ではなく、イベントとして「クリスマス」を捉えていることも多いですが、他の宗教を信仰している児童がいることにも注意が必要です。
私の学校にはイスラム教を信仰している児童も多いこともあり、12月に行われるお楽しみ会を「クリスマス会」としようと提案する児童もいますが、単に「お楽しみ会」として行うようにしています。

宗教を意識せず習慣化しているものに注意

クリスマス以外にも、私たちは宗教を意識せず、習慣として合掌することがあります。
例えば、給食前の「いただきます」で手を合わせることが難しい児童がいます。

授業中・校外学習での配慮や対応②

外国につながる児童になじみのない/経験のない学習は一緒に

リコーダー、跳び箱などの経験がない児童は学習に苦戦することがあります。
馴染みがないうえに、言葉がうまく通じない場合も多いので、指導も苦戦します。
やり方を目の前で見せてあげる、笑顔を向けてあげるなど、寄り添った指導ができるとよいですね。

お祈りで別室に行くときには、国際教室と連携を

私の学級に外国につながる児童がいましたが、その児童はお昼休みに国際教室でお祈りをしていました。
ちょうどお祈りの後の5時間目に校外学習があった日、国際教室から戻って来ず、探した私と入れ違いになってしまい、校外学習の出発から遅れることがありました。
校外学習や移動教室の前後にお祈りがある場合には、国際教室や本人と事前に時間や場所の確認を徹底すべきだったと反省しました。

宿泊学習での配慮

例えば、高学年になると、宿泊を伴う行事があります。私が引率した時には、外国につながる児童がいたため、宿泊を伴う行事中、児童がお祈りの場所を必要としているか確認しました。
お祈りをする場所が必要だったため、宿泊先でお祈りをするための場所、個室を確保しました。
さらに、宿泊先の食事で宗教上の理由で食べられないものがないか、野外炊飯などの調理では他の児童と同じ食材が使えるか、宗教食対応の確認が必要でした。

多様な文化に触れる

皆さんの学校に、外国につながる児童がいるか、いないかはわかりませんが、外国につながる児童がいることで、私は様々なことを学ぶことができました。
これからも、児童との関わりを通して、様々な文化に触れ、自分の視野も広げていきたいです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

齋藤 祐佳(さいとう ゆか)

仙台市公立小学校 教諭


公立小学校にて勤務しながら、よりよい教育を模索している。
宮城教育大学教職大学院にてp4c(子どもの哲学対話)を研究し、現在は心理的安全性を高める学級経営、子どもと対話し考えを深める道徳教育に生かす。
『初任者教師のスタプロ ハッピー学級経営編』(東洋館出版)にてコラムを執筆。
note(https://note.com/haru_kaneko)では、子どもとの日々をありのままに綴っている。
日本教育心理学会所属。

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