2022.11.23
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長野県池田町と東京都小笠原村(父島)約1100kmをGoogle Meetでつなぐ。

CanvaのTeacher Canvassadorの清水です。

11月に入り、わたしの住む白馬山麓エリアでも朝晩はだいぶ冷え込んできました。
先日訪れた、雨飾山(日本百名山)の頂上では今シーズン初の雪を味わうことができました。
今回は、私が教育ICTアドバイザーとして関わっている長野県池田町の話題です。
池田小学校5年生社会科「水産業のさかんな地域」の学習で行われた、オンラインインタビューの様子をお伝えします。

長野県公立小学校非常勤講師 清水 智

小笠原のYouTubeライブからスタート!

実はこの授業実践は3回目となります。

1回目:長野県小谷村立小谷小学校(2019年度)
2回目:東京都多摩市立貝取小学校

1回目の授業者・2回目のリモートでのコーディネートに続き、3回目の池田小学校ではICTツールを授業者は学びの場づくりとして手軽に使い、学習者である児童は学びを深める道具として使うことを目的として実施しました。

池田小学校の授業開始まで、機材セッティング中に大画面で流していたのが小笠原村父島に設置されたライブカメラの映像

子どもたちは気づきます。

「泳いでいる人がいる!」 → 10月下旬でも半袖で過ごせる気候
「サーフィンしている人がいる!!」 → この日はサーフィンするのに少しだけ波が出る状況
「船がたくさんある!止まって何かしている??」 → ドルフィンスイムなどの観光船がちょうど停泊中。イルカがいたのかも?

この映像に映る「大村海岸」(通称:前浜)は、父島の街中からすぐにアクセスできるビーチです。ライブ映像とは言え、子どもたちの生活する長野県池田町と小笠原村との気候の違いに気づき始めていました。

小笠原漁協からライブ配信!

画面を通して、現地の様子をお伝えしていたきました。

当日は小笠原漁協がある二見港から、漁師さんにスマートフォンを使って、Google Meetを利用したライブ配信をしていただきました。
現場からの一方的な配信ではなく、こちらからの質問に随時、答えていただく形を取り、双方向でのやり取りを重視しました。
子どもたちが事前に準備した質問だけではなく、船内の様子や漁師さんのお話の中から生まれた新たな疑問にも答えてもらえました。

現地の道具や様子を交えて回答していただくことで、今回の単元「水産業のさかんな地域」における学習目標の一つでもある「新鮮な水産物を届ける工夫を知る(理解を深める)」に、児童のふりかえりや授業中のつぶやきを見ると、かなり近づけていたなと感じました。

漁師さんの工夫や努力だけではなく生態系に関する質問も

インタビュー後は、Chromebookで撮影しておいたインタビューの様子を動画再生し、ノートにまとめていきました。

今回のインタビューで、「新鮮な水産物を届ける工夫」に関する質問以外多く出たのが、小笠原近海の海の生態系に関する話題。

今回の単元のねらいからズレている・・・ようにも思えますが、小笠原という環境下で漁業をする上で、大型の魚類や哺乳類等との関係について知ることで、より「新鮮な水産物を届ける工夫を知る」という学習目標に繋がっていました。

例えば
「漁業をやっていて困ったことはなんですか?」
という質問に対して
「サメがかかる。漁具を壊されてしまう。サメDAYのような日もある」
という回答を得られたのは、教科書・資料集にはない漁師さんの困りごとの一つでした。

長野県池田町の子どもたちにとっては、漁場にサメがいることや地域によってはサメが資源として有効活用されていることを知るなど、漁師さんへのインタビューだからこそ漁業という職業へのさらなる理解が深まる場面となりました。

おわりに

当日のGoogle Meetは、事前にGoogle カレンダーでスケジュール設定をしておき、カレンダー上からGoogle Meetを開設しました

3年前に実施した小谷村立小谷小学校と小笠原村とを繋ぐ授業では、LINE電話を使いながら、さらには予備としてSkype回線を準備しておくこと。また、子どもたちは基本的に紙ベースで質問準備やインタビュー後のまとめなどをしておりました。GIGAスクール構想が進んできたことで、子どもたちの学び方が大きく変わっていることを改めて実感しました。

清水 智(しみず さとし)

長野県公立小学校非常勤講師


元東京都公立小学校主幹教諭/現長野県公立小学校非常勤講師/教育ICT・学級経営コンサルタント/Google認定教育者レベル2

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