2022.02.28
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へき地・小規模校の特性を生かす特別支援教育の取り組み:校外学習での公共交通機関の利用と買い物体験学習(3)

校外学習は、児童にとっては楽しみではありますが、教員にとっては、事前の準備や当日の指導がちょっと大変と思うかもしれません。
「引率者ガイド」を作成して、指導の方針や教師の動きを確認して、引率がスムーズにいった事例を紹介したいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

チームになるのは、簡単ではない。

特別支援学級の指導では、複数体制で指導にあたることが多くあります。その際に課題となるのが、複数体制で児童をどのように指導するかということです。
「チーム学校」「チーム〇〇小」という言葉をよく耳にしますが、チームになるということはそれほど簡単なことではありません。複数で指導するには教員間で様々な調整が必要になります。その調整にあたっては、異なる児童の実態に合わせた指導が必要となること、指導にあたる教師一人ひとりにも得意・不得意な分野がある、そして教師同士の人間関係も考慮する必要があるかもしれません。
もちろん、私たち教員は、児童生徒のために教育活動を行っているので、同じ志を持っているという点では共通しているはずなのですが、そううまくはいかない現実もあります。

「引率者ガイド」を作成して、共通理解を…

私は、自分が校外学習の主担当になったときには、「引率者ガイド」というのを作成していました。これは、校外学習だけではなく旅行的な行事の時にも作成しており、特別支援学級だけではなく、通常の学級の場合でも作成しています。引率者の打ち合わせの際に、事前の計画作成段階で話し合われたことをまとめておき、この「引率者ガイド」を見ながら確認をすすめます。大切なのは、このガイドを作成するのが目的なのではなく、

  • 引率者がどういう方針で指導に当たるのかを確認すること、
  • 活動場面ごとに引率者一人ひとりがどう動けば良いのかを共通理解すること

だと考えます。

誰が、何を、どんな方針で指導するかを明確に!

筆者作成の「引率者ガイド」より一部を抜粋

例えば、上記であれば、児童が昼食を注文する場面のことですが、引率の教員は「見守り」の対応でと記載しています。これが「指導の方針」です。
事前の打ち合わせでは、1名の児童以外は多少困ることがあったとしても、チャレンジさせたほうが良いのではないか、という結論に至りました。その方針を再度、ここで確認しています。
そして活動ごとに【  】内に引率教員の名前を記載し、その場でどのような指導や対応を行うのかを明確にしています。そうすると、普段の児童の実態をあまり知らない応援の先生が来ていただく場合などは特に役立つのですが、自分の名前を見つければ、その場面でどのような指導や対応をすればいいのかが一目で分かるようになっています。
また、引率の先生方が「〇〇の活動のときに、△△先生は何をしているのか?」という全体的な動きを把握しておけるようにしておくと、困ったときやサポートが必要なときにサポートが頼みやすくなります。

上の昼食の場面では、買い物に行った児童の近くで私が見守りをしていましたが、個別にサポートが必要な児童がいると判断し、B先生に連絡をしました。
本来、B先生は買い物から戻ってきた児童に対して、財布やレシートなどの管理をするように声かけ・確認をすることになっていましたが、それができなくなってしまいます。しかし、C先生が待機していましたし、引率者ガイドにもB先生が行う指導内容が記載されていましたので、C先生が機転を利かせてB先生の代わりに子供たちを迎え入れて、必要な声かけ・確認をしてくださっていました。

結果的には、児童の学びに…

このような引率者ガイドをもとに引率を繰り返していくことで、「いつの間にか『チーム』になっている」と気づくことがありました。作るのは大変なこともありますが、拠り所になるものがあることで、指導の呼吸がだんだんと合っていくように思います。引率者の振り返りも行い、「この場面、こうすればよかった」というような反省も次回に生かすことができます。
もちろん、このような引率者ガイドを作らなくても、教員同士が連携できるような状況になっているほうがベストだとは思います。また、同じメンバーで行く際には、2回目以降は情報量を減らしたり、そもそも作成しなくても良かったりするということもありました。

「あ、〇〇先生がいまは児童の指導をしてくれているから、自分は写真撮影をしていればいいな」とか、「いま〇〇先生が△△さんに少し厳しめに指導したのは、これをやらせたいからだな。ちょっと声をかけずに見守ろう」というような、その場面に応じた指導や対応をとることができるようになっていくことが、結果的には児童の学びにつながっていくのだと思います。
そういうチームをたくさん作っていけるようにしていくための一つの方法かなと思い、紹介させていただきました。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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