2022.01.19
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へき地・小規模校の特性を生かす特別支援教育の取り組み:校外学習での公共交通機関の利用と買い物体験学習(2)

都市部の学校と比べると、経験がしにくいこともあるへき地・小規模校ですが、そのハンデも逆手にとってしまえば、可能性が広がります。その一つと考えられる校外学習を取り上げます。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

◆保護者の理解と協力を得ながら目標を設定「ゴールは何?」

公共交通機関の利用体験や買い物体験を実施するにあたって、何を目標とするのかについて保護者と事前に相談を行うことが重要と考えていました。児童の家庭での実態、学校での実態などをもとに、参加する児童一人ずつの目標を設定しました。本事例の場合は、年度当初の個別の指導計画作成時に、学校としての学習のねらいを説明し、必要な打ち合わせをしました。その理由としては、へき地の学校の場合、移動に時間を要することから、1日がかりで実施する学習でしたし、金銭面での負担をお願いすることにもなります。また、感染症対策について説明をして理解を頂く必要もありました。早い段階で計画し、説明していくことでその後の準備がしやすかったと考えています。

目標を設定する時点で、児童に身に付けさせたい力(学校側+保護者側)を擦り合わせていましたが、それを確認するためにも学級通信で周知しただけではなく、授業参観日に事前学習を授業公開とすることで、教師が何を目的として、どのような活動を行い、どのような支援を行っているかを保護者に見える形で伝えるということも行いました。

事前の打ち合わせ+事前指導の公開の2つを組み合わせて実施することで、学習活動や教師の指導の意図を明確にし、保護者の協力や理解が得やすくなったと考えます。例えば、ある家庭では、保護者がタブレット端末を活用して、ショッピングモールのフードコートのホームページを見て、「昼食に何を食べるのか」を事前に相談してから学習に参加したそうです。この家庭では、学校生活が家で話題になることは普段はあまりなかったそうですが、学級通信や授業参観を通して得られた情報をもとに、保護者側から児童に働きかけてそのような時間がとられたということです。

◆楽しんでいる間にいつの間にか「学んでいる」

例えば、昼食をフードコートで自分で注文するという活動がありました。子どもたちにとっては、いつもの給食ではなく、「自分で好きなものを食べられる!」というワクワク感があります。保護者と一緒に外出するときには、保護者が注文するという児童が多く、自分で注文した経験はないという児童が多くいました。この活動の裏には、「初対面の人も含めて、いろいろな人と関わりをもてるようにする」というねらいもありました。自分の好きなものを食べるには、自分で注文しなくてはいけない…というハードルが設定されますが、学校で学習するよりもそのハードルは乗り越えやすいように思います。楽しんでいる間に、いつの間にか、その児童が学んでほしいことを「学んでいる」という状態です。そして、大切なのは、事後の振り返りを通して、「できたよね!」という強化をして、児童が自信をつけられるようにすることではないかと思います。楽しみながら、成功体験を通して自信をつける、そういう場に校外学習ができればと考えていました。

◆「〇〇先生だからできる」という属人的な活動にならないようにするために

特別支援学級の校外学習は、「オーダーメイド」の要素がとくに強いと言えます。児童の実態に合わせて活動内容を調整していく必要がありますので、「例年通り」ということにはなかなかならないでしょう。ある意味、計画立案段階の時点で、担当教員(引率教員)の力が試されるのではないかと思います。私の場合は、担当してある程度大枠を設定したうえで、ともに指導する先生と相談しながら詳細を詰めていくスタイルをとっていました。

これは、小規模校に限らないことですが、その学校での勤務年数など様々な要素が関連するかもしれませんが、「〇〇先生だからできる」ということが多かれ少なかれあると思います。プラス面としては、その業務に長けている先生がいることで、業務や学習活動などが効率よくスムーズにできるということが挙げられます。事前の打ち合わせに時間を要さず、良く言えば「安心して任せられる」という状態と言えるかもしれません。逆に、マイナス面としては、うまく機能している間はあまり困らないですが、担当者が交代することになったときの引継ぎがスムーズにいかなくなることが挙げられます。〇〇先生しか分からない…ということが多いと、その後が大変…ということになります。それで、校外学習も主担当と副担当を決めて、学校の教育活動として継続しやすい体制をとるようにしていました。当日の児童への指導も役割分担を明確にしておくことで、当日もスムーズに活動をすすめることができます。その点は、次回に取り上げたいと思います。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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