単学級の学級経営~風通しの良い学級経営をするために~(2)
もうすぐ1年が終わります。学年末まで、あと5か月弱......。
学級としてのゴールが見えてきた今だからこそ、残りの期間で気を付けていきたいことを考えます。
北海道公立小学校 教諭 深見 智一
児童は、学級担任以外の教職員とどのような関わりがありますか?(単学級の場合)
前回の記事で、学級に「外の風を入れ、空気の入れ替えをする」ために、教育相談で学級担任以外の教職員と個人面談を行う、という方法をご紹介しました。1学年につき1学級の単学級小学校では、その学年(=学級)を学級担任1人だけで指導することが基本となります(ただし、特別支援学級に在籍している児童がいる、配慮を要する児童がいて支援員が配置されている等の例外はあると思います)。1人でずっと見ているから分かることもありますが、何十人もの児童を月曜日から金曜日まで、1年間ずっと見ていたとしても、
担任である自分には見えていないことがある
ことを多く経験してきました。
それで、私は、複数の目(=視点)で子どもたちを見ることが、子どもたちの成長に良いと感じています。もちろん、教員同士の意思統一など難しい面もありますが…。
学級や児童のことに関して、耳が痛いことでも教えてくださる先生がいる環境になるように、教育相談を契機として、「学級を開く」ことにしました。一つの学級経営のスタイルと言えるかもしれません。
ほかにも、委員会活動やクラブ活動、教科担任制、チームティーチング(TT)、清掃指導などで子どもたちはたくさんの先生と関わりますので、時間のある時に「〇年生の子どもたち、どうでしたか?」と伺うようにして、情報を集めることもしていました。
学級担任以外の教職員との教育相談も行う
学級担任以外の教職員との教育相談も行うというのは、子どもにとっても学級担任にとってもメリットが大きいと考えています。それは、
- (児童)学級担任には話しにくいことを話せる。
- (担任)その児童についての多くを知れるようになる。
というメリットがあるからです。
もちろん、担任としては、子どもにとって相談しやすい存在になれるように努力します。でも、子どもの側から見て、合う・合わないというのがあると思います。大人でも、職員室でこの先生には相談しやすい、というのがあると思います。
子どもにとって、学校で相談しやすい相手が必ずしも学級担任ではないかもしれないというセーフティーネットの仕組みとして、そういう子どもたちの思いを拾ってあげられる存在が必要と考えています。
そして、小学校の教員は、学級担任が何もかも自分で……という意識がとくに強い傾向にあります。とりわけ、単学級の学校では、児童数は比較的少ないものの、担任を受け持たないフリーの教員がいない分、ほかの学年の様子が教員同士でも見えにくいという状況が見られます。意図的に違う風を吹き込ませることで、「学級を開く」ことが大切であると考えているのです。
校内で理解を得るために…
校内でこのような仕組みを一担任としてすすめるのには、少し勇気が要ります。私は、次のように行いました。
- 「ちょっとうちの学年で試しにやらせていただきたいのですが?…」と生徒指導担当の先生や管理職に相談します。
- 校内の教職員に提案し、理解を得ます。
- 面談相手となってくれそうな先生方にお願いします(1が通った時点で、内々にお話しすることも…)。
- 児童及び保護者に説明します。
- アンケートを実施し、児童に面談したい相手を選んでもらいます。
- 計画を立て、面談を実施します。(一人5~10分程度)
- 面談実施後、どのような内容が話し合われたかを担当していただいた先生方に簡単に報告していただきます。
- あらためて、学級担任が、児童と個人面談を行います。
- 必要に応じて、保護者にフィードバック、関係する先生方に周知します。
慣れるまで手間がかかりますが、このようにすることで、救われてきた子どもたちも多いと私は実感してきました。
次回は、どんなエピソードがあったのか事例を紹介したいと思います。
深見 智一(ふかみ ともかず)
北海道公立小学校 教諭
書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。
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大阪大谷大学 教育学部 教授
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