2021.10.12
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教育実習の指導をプラスの視点で考える~実習指導教員を担当することで得られる学び(3)

なんとなく「指導教員である私も何かを学んでいるのではないか?」というきっかけから始まった教育実習での省察について、その一部をご紹介したいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

毎日、自分のことを「ちょっと」振り返ってみる~実習生を鏡として~

実習生を鏡とした指導教員のリフレクション

実習期間中、実習生は実習日誌を作成し、指導教員との振り返りを行います。指導教員は、実習日誌にコメントを書いたり、実習生と授業実習の振り返りや翌日の授業準備を共に行います。これらは、順序や方法は異なるとは言え、どの実習校でも行われることと思います。
私は、これを指導教員のリフレクションに役立たせられないか?と考えました。教育実習は、まず、教育実習生の学びの場とならなければなりません。同時に、指導教員にとっての学びの場ともなるには、難しい理論や方法に基づくものではなく、通常行っていることに「ちょっと」付け足すくらいのものでなければ、継続することができないと考えたからです。
私は、1日の終わりに、

  • 〈実習生の実習日誌〉
  • 〈振り返りで話し合ったこと〉
  • 〈指導教員として実習日誌に記入したコメント〉

をもとに、毎日、Word文書で〈指導教員のリフレクション〉を書くことにしました。
画像で紹介しているものは、ある年の記録の一部です(個人情報が特定されないように改変しています)。
指導教員は、実習日誌を見て、振り返りで話し合ったことを思い出し、実習日誌にコメントを記載します。その後、〈指導教員のリフレクション〉を作成します。この際、実習期間中、継続してリフレクションすることを目指したため、コメントの記載も併せて「10分以内」で終わらせることを目標にしました。
振り返る内容は、あえて「実習指導」ということに限定せず、

  • 実習生を指導したことによって自分が考えたこと

を記載しました。
例えば、ある日は、実習生が音楽の授業のことを実習日誌に取り上げていました。実習生が記述していたように、改善が必要な点はたくさんありました。でも、それ以上に、指導する技術はまだ持ち合わせていないけれども、子ども達の実態に合わせて指導しようという実習生の意欲を感じました。その点を振り返りの際に取り上げ、コメントにも記載しました。
その後、

  • 「(指導教員の私は、)なぜあの場面に着目したのだろう?」

と振り返ってみると、「知らず知らずのうちに、(指導教員の私は、)柔軟な指導の大切さを忘れてしまっていたのではないか?」と考えました。
「今日は、ここまで学習を進めなくてはならない」とか、「この練習をするときには、こう指導すればうまくいく」など、児童の実態に自分の指導を合わせるよりも、教師の指導のしやすさに児童を合わせるようにする傾向が強くなっていた…と反省することができました。
このように、実習生の指導や姿を鏡として、自分自身の指導を顧みることができました。そして、それを「記録化(言語化)」することで、実習が終わってからも、さらにもう一度リフレクションを行うことができるようになりました。

毎日、自分のことを「ちょっと」振り返ってみる~教師としてのこれまで・今・これから~

教師としてのライフコースを振り返り、これからを考えるリフレクション

ある時には、もう少し大きな視点でのリフレクションにつながることもありました。
ある日、実習生に対して、教師としての話し方(指導技術)について、振り返りで取り上げ、コメントを記入していた日がありました。ここでも、「(指導教員の私は、)なぜあの場面に着目したのだろう?」というフィルターを通して考えてみました。そうすると、他の教員が児童を指導する場面(全校朝会、研究授業など)で、私自身が、その教員の指導技術に着目しているということに気づきました。
おそらく、初任校でお世話になった先生の影響が大きく、教師は指導技術をもっていなければならない!という考えが強いのではないか…と振り返りました。教師としてのライフコースを振り返ってみると、そういう意識が強すぎた時期もあり、「あの学級を担任したときの子どもたちに迷惑をかけたな」とか「同僚や先輩の先生方に失礼なことをしたり、言っていたりしたんだろうな」とリフレクションというよりも、反省したことがありました。
このようなことを繰り返していくと、「これからどういう方向性でいくかな?」ということにもつながりますので、自分自身の教師としての在り方を時間軸をもとにして考え直す機会ともなっていました。

決して余裕がある訳ではありませんが…

指導教員が実習生を指導することで得られる「学び」がある、という前提でこのような取り組みを行ってきました。
この取り組みは、3年間継続して行い、記載された内容を大まかに分類すると、

  1. 実習生を鏡として行うリフレクション
  2. 教師としてのライフコースを振り返り、これからを考えるリフレクション

に大別できると考えました(現在、大学の研究者にアドバイスをいただきながら、まとめている途中です)。

多くの先生方は、日々変化する状況に応じて、その都度、適切な対応をしていなかなくてはならない「緊張感」を日々感じておられることと思います。生徒指導や保護者対応、学級経営などが容易ではない学校に勤務されている先生からすれば、「そんな教育実習について考えている余裕はない…」「余裕のある人がやっている実践だろう…」と思われるかもしれません。
しかし、私個人の思いとしては、実習指導を含めた教員としての様々な業務を、視点の転換を図ることで、前向きに・ポジティブに行えるようになれれば、より働きやすくなり、それが子どもたちへの教育につながっていくと考えています。自分自身に決して余裕がある訳ではありませんが、そういう実践的な研究の視点を持ち、できれば学術的な裏付けも持たせ、広く他の先生と共有していけるような取り組みをしていければ…という思いなのです。
(なお、「省察」については、様々な議論があり、先日行われた日本教師教育学会の研究大会等でも話題となっておりましたが、本稿では詳しく取り上げていないことをご了承ください。)

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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